小川寛興

小川 寛興 - 日本の作曲家

小川寛興（おがわ ひろおき、1925年3月5日 - 2017年7月19日）は、日本を代表する作曲家であり、特に映画やテレビ音楽に多くの業績を残した人物です。東京府東京市芝区新橋（現在は東京都港区）で生まれた彼は、日本作曲家協会の監事を務めるなど、音楽界での影響力を持ち続けました。

生い立ち・経歴

小川は1943年に大倉高等商業学校中等科を卒業しました。彼は初め、声楽を師である立松房子や薗田誠一に学び、作曲や管弦楽法を服部良一から学びました。また、指揮法は森正に師事し、藤原歌劇団でオペラの勉強をしましたが、挫折して作曲に転向することになりました。1947年には服部良一の内弟子となり、1950年には独立を果たしました。彼の弟子たちには、原六朗や佐野雅美といった同じ道を歩む仲間がいます。

彼は帝国劇場でのミュージカル作曲及び専任指揮者を経験した後、1960年から1961年まで日本コロムビアの専属作曲家として活躍し、1962年から1973年まではキングレコードに所属しました。1957年には、テレビドラマ『ぽんぽこ物語』でテレビドラマ音楽を手がけ、以降『月光仮面』など、宣弘社制作の多くの番組でも音楽を担当しました。

1965年には倍賞千恵子の楽曲「さよならはダンスの後に」で第7回日本レコード大賞作曲賞を受賞しました。小川は映画、テレビ、ラジオ音楽の制作において、非常に多才な作曲家として認識されていました。1957年からは品川区荏原に住み、地元文化の振興に大きく寄与しました。彼は品川文化振興事業団の副理事長や教育委員会の委員として、地域の芸術活動を活発化させました。特に2001年に行われた「東海道四百年祭」のオープニングイベントでの区民参加型オリジナルミュージカル『しながわ物語』の作曲により、彼の功績はさらに評価されました。2015年には名誉区民の称号が贈られました。

また、彼は1997年に勲四等旭日小綬章を受章し、音楽への貢献が広く認められました。しかし、2017年に多発性脳梗塞により92歳で他界し、没後には第59回日本レコード大賞特別功労賞が贈られました。

音楽活動とエピソード

小川は当初、歌手を志していましたが、師の服部良一から作曲家への道を勧められました。彼の作曲スタイルは、楽器を使わずに直接楽譜にメロディを記入するというもので、ピアノは確認の手段として使われる程度でした。当時の映画音楽制作では、フィルムを見ながらBGMを構築するのが一般的でしたが、小川もまた、撮影後のフィルムを旅館で見ることが多く、翌朝に楽譜を現場に届けるというスケジュールをこなしていました。京都でのピアノ調達が難しいため、同業の作曲家とピアノの取り合いになることもあったといいます。

主な作品

クラシック作品

• - 交響組曲「カラーによる幻想」
• - バレエ音楽「砂の城」
• - 交響曲「日本の城」

映画音楽

• - 双頭の殺人鬼（1959年）
• - 歌麿をめぐる五人の女（1959年）
• - すっとび仁義（1961年）
• - 大忍術映画「ワタリ」（1966年）

テレビ番組テーマ曲

• - ぽんぽこ物語（1957年）
• - 月光仮面（1958年）
• - 鉄腕アトム（1959年）
• - 忍者ハットリくん実写版（1966年）

歌謡曲

• - 銀座旋風児（1959年）
• - さよならはダンスの後に（1965年）
• - おはなはん（1966年）

校歌

• - 川越市立野田中学校校歌
• - 松戸市立幸谷小学校校歌

小川寛興は、数々の名作を生み出し、日本の音楽界に不朽の足跡を残しました。彼の作品は今もなお、多くの人々に親しまれています。

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