司書房

司書房の歴史と軌跡

司書房（つかさしょぼう）は、日本において一時期存在した出版社で、成人向け出版物を中心に展開していました。東京都にある古書店と同名ですが、こちらは出版社とは無関係です。

この出版社は、桃園書房の子会社として1980年代に創業され、当初は東京都千代田区三崎町に本社を構えていましたが、最後には中央区に移転しました。創立者が第二次世界大戦後の土地を取得し、彼が代表としてこの出版社をスタートさせました。また、阿佐田哲也（色川武大）という著名な作家が、麻雀を題材とした作品を執筆した出版社でもあります。

親会社の桃園書房は文学や釣りに関連する書籍を専門に扱い、一方で子会社の司書房は成人向けの出版物に特化していました。しかし、時が経つにつれ、その内容の区分が次第に曖昧になり、両社の編集作業は連携して行われるようになりました。2005年には設立者一族が事業を売却し、社名を変えた後、桃園書房との関係が再構築される中で、以前の出版スタイルが復活しましたが、業績は芳しくありませんでした。

司書房が発行していた有名なものには、不定期刊行の大型本「ツカサムック」、成人向け漫画シリーズ「ツカサコミックス」などがあります。この出版社は、特に1980年代には注目を集め、一時的にかなりの繁盛を見せました。

発展と困難

司書房の歴史には、さまざまな試みと数々の困難がありました。1985年頃、著者森山塔（現・山本直樹）の単行本の出版を契機に特需が発生し、会社は成長を遂げました。その後、1995年頃には捨てられた隣接ビルを買収し、一緒に改装を行ったことで物理的な面でも拡張したものの、2005年に経営陣が一新されてからは、再び新しい試みが始まったものの、成績は思うようにはいきませんでした。

2006年には桃園書房と共に八丁堀へ本社を移転、その後も経営の安定を図ろうとしましたが、編集部員のリストラを行った結果、労働争議に発展し、結果として敗訴を余儀なくされました。これにより、さらに経営は厳しい状況へと追い込まれていきました。

2007年春には、下請け業者や印刷・製本業者への支払いが滞り始め、8月には「9割免債」を提案したものの、ほとんどの債権者はこの提案を認めませんでした。そして9月5日、桃園書房と共に破産宣告を受け、この出版社は歴史の中に消え去りました。

主な出版物

司書房が扱った雑誌は成人向け漫画からSM系雑誌、その他のジャンルにまで多岐にわたりました。代表的な雑誌には「漫画エロス」「コミックドルフィン」などがあり、特に1980年代から1990年代には、比較的高い人気を誇っていました。SM系や実話系の雑誌も多様に展開し、のちに文化やジャンルのひとつとして評価されるようになりました。

元社員の岡野雄一や、漫画家の花見沢Q太郎は、司書房との関わりを持ち続け、後の作品にその体験を反映させるほどでした。これらの人々の物語は、司書房の歴史を語る上で欠かせないエピソードとなっています。

今は過去の出版社となった司書房ですが、彼らが生み出した多くの作品やその影響は、今日でも語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索