司馬達等

司馬達等（しば だっと / しば たちと / しば の たちと / しめ たちと）は、飛鳥時代に生きた人物であり、正確な生没年は不明です。彼の氏姓は、鞍部村主（くらつくりのすぐり）または鞍師首（くらしのおびと）と記録されています。

出自について、『日本書紀』の雄略天皇の記述に登場する鞍部堅貴（くらつきのかたき）の一族であることが記されています。このことから、司馬達等が有力な渡来系氏族の一員であったことが伺えます。

経歴を辿ると、司馬達等は仏教が公に認められる以前から仏教を信仰していたとされています。『扶桑略記』によると、522年（継体天皇16年）2月、彼は日本に渡来し、大和国高市郡坂田原に草堂を結び、本尊を安置して信仰に励みました。これは、当時の仏教受容の黎明期において、彼が重要な役割を担っていたことを示唆しています。

その後、584年（敏達天皇13年）には、播磨国において、高麗からの渡来僧で還俗していた恵便（えべん）に、娘の嶋（後の善信尼）とその弟子2人を出家させています。この出来事は、司馬達等が仏教の普及に積極的に関与していた証左と言えるでしょう。

さらに、崇仏派の蘇我馬子（そがのうまこ）が邸宅内に仏殿を建立し、請来した弥勒仏を安置した際には、司馬達等が仏舎利を献上し、法会を開催したと伝えられています。これは、当時の仏教界において、彼が一定の影響力を持っていたことを示しています。

しかし、司馬達等は、仏教を排斥しようとする勢力からの迫害も受けています。585年（敏達天皇14年）には、排仏派の物部守屋（もののべのもりや）から面罵され、娘の善信尼ら3人の法衣を剥奪され、監禁されるという憂き目に遭いました。この事件は、当時の仏教を巡る政治的な対立を象徴する出来事として知られています。

司馬達等の生涯は、仏教が日本社会に浸透していく過程において、その初期段階を支えた人々の活動を今日に伝える貴重な資料です。彼が、仏教の普及に大きく貢献した人物であったことは疑いありません。彼の活動は、後の日本の仏教文化の発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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