無伴奏

無伴奏（むばんそう）とは

無伴奏とは、音楽用語で、伴奏を伴わない演奏形態を指します。通常、楽器演奏や声楽は伴奏を伴うのが一般的ですが、無伴奏は、独奏や独唱、合唱において、楽器による伴奏なしで演奏されることを意味します。特に西洋音楽においてこの言葉がよく使われ、楽器の特性や演奏者の技術が際立つ表現方法として、重要な位置を占めています。

無伴奏が用いられる楽器と特徴

無伴奏は、主に弦楽器（ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなど）、管楽器、声楽で用いられます。これらの楽器は、単音で旋律を奏でることが得意であり、伴奏なしでも楽曲を構成できるため、無伴奏での演奏が可能です。

一方、ピアノやオルガンなどの鍵盤楽器、ハープ、ギターといった和音を奏でやすい楽器では、独奏であっても通常は「無伴奏」とは呼ばれません。これらの楽器は、単独で和音やリズムを表現できるため、伴奏を必要としないからです。

無伴奏作品の主な例

以下に、主要な楽器や声楽における無伴奏作品の例を挙げます。

ヴァイオリン

テレマン - 無伴奏ヴァイオリンのための12の幻想曲 TWV 40:14～25
J.S.バッハ - 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV 1001～6
パガニーニ - 24の奇想曲 作品1
イザイ - 無伴奏ヴァイオリンソナタ 作品27（全6曲）
クライスラー - レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース 作品6
バルトーク - 無伴奏ヴァイオリンソナタ Sz. 117, BB 124
プロコフィエフ - 無伴奏ヴァイオリンソナタ ニ長調 作品115
ハチャトゥリアン - ソナタ・モノローグ

ヴィオラ

カンパニョーリ - 41のカプリス 作品22
レーガー - 無伴奏ヴィオラ組曲（第1～3番）
ストラヴィンスキー - エレジー CC 96
ヒンデミット - 無伴奏ヴィオラソナタ（全4曲）
ハチャトゥリアン - ソナタ・ペスニャ
リリアン・フックス - 16の幻想的練習曲

チェロ

D. ガブリエリ - リチェルカーレ（第1～7番）
J.S.バッハ - 無伴奏チェロ組曲（第1～6番）BWV 1007～12
コダーイ - 無伴奏チェロソナタ 作品8
カサド - 無伴奏チェロ組曲
ブリテン - 無伴奏チェロ組曲（第1～3番）
ハチャトゥリアン - ソナタ・ファンタジア
シュニトケ - 「響く文字」
リゲティ - 無伴奏チェロソナタ

ヴィオール（ヴィオラ・ダ・ガンバ）

テレマン - 無伴奏ヴィオールのための12の幻想曲 TWV 40:26～37

フルート

テレマン - 無伴奏フルートのための12の幻想曲 TWV 40:2～13
J.S.バッハ - 無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV 1013
ドビュッシー - シランクス L. 129
オネゲル - 牝山羊の踊り
ヴァレーズ - 密度21.5
ベリオ - セクエンツァ I
リーバーマン - ソリロキー（独白）
武満徹 - エア

オーボエ

ブリテン - オヴィディウスによる6つのメタモルフォーゼ 作品49

クラリネット

ストラヴィンスキー - 3つの小品 CC 48
メシアン - 鳥たちの深遠（「世の終わりのための四重奏曲」より）

独唱

ケージ - アリア
ベリオ - セクエンツァIII

合唱

モーツァルト - アンティフォナ『まず神の国を求めよ』K. 86
メンデルスゾーン - 野に歌う（第1～3集 作品41、48、59）
シューマン - ロマンスとバラード（第1～4集 作品67、75、145、146）
ヴェルディ - われらの父よ
ブルックナー - アヴェ・マリア ヘ長調 WAB 6
ブラームス - 3つのモテット 作品110
サン＝サーンス - 2つの合唱曲 作品68
チャイコフスキー - 聖金口イオアン聖体礼儀 作品41
ドヴォルザーク - 4つの合唱曲 作品29
グリーグ - 4つの詩篇 作品74
ドビュッシー - シャルル・ドルレアンの3つの歌 L. 92
リヒャルト・シュトラウス - 2つの歌 作品34
ヴォーン・ウィリアムズ - シェイクスピアの3つの歌
ラフマニノフ - 徹夜祷 作品37
シェーンベルク - 地上の平和 作品13
ラヴェル - 3つの歌 M. 69
バルトーク - 4つのハンガリー民謡 Sz. 93, BB 99
ストラヴィンスキー - アヴェ・マリア CC 78
コダーイ - マートラの風景 K. 73
プーランク - カンタータ『人間の顔』FP 120
ショスタコーヴィチ - 10の詩曲 作品88
ブリテン - 聖セシリア讃歌 作品27
リゲティ - ルクス・エテルナ
佐藤賢太郎 - Missa Pro Pace


これらの作品は、無伴奏でありながら、各楽器や声の特性を最大限に活かした高度な音楽表現を可能にしています。無伴奏の音楽は、演奏者の技術と表現力が試されると同時に、聴衆に純粋な音楽体験を提供します。

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