合金工具鋼

合金工具鋼は、炭素工具鋼にタングステン、モリブデン、クロム、シリコン、バナジウム、ニッケルなどの元素を添加することで、強度や耐摩耗性、耐熱性などの特性を向上させた工具鋼の一種です。これらの添加元素の組成によって、鋼材の特性が大きく変化するため、用途に応じた最適な材料を選択することが可能です。

現在では、実用的な工具鋼として主流を占めており、「工具鋼」という言葉は、一般的に合金工具鋼を指すことが多くなっています。これは、合金工具鋼が持つ優れた性能と多様性が、様々な産業分野でのニーズに応えているためです。

日本産業規格（JIS）では、合金工具鋼は耐衝撃用、冷間金型用、熱間金型用の3つに大きく分類されています。これらの分類は、鋼材が使用される環境や用途に応じて、最適な特性を持つ材料を選ぶための指標となります。特に、冷間金型用、熱間金型用、切削工具用の材料は大量に使用されており、これらのグループを高合金工具鋼と呼ぶことがあります。一方で、それ以外の用途で使用されるものを低合金工具鋼と呼ぶことがあります。高合金工具鋼は、より複雑な組成を持ち、高度な特性を必要とする用途に適しています。一方、低合金工具鋼は、比較的シンプルな組成で、一般的な用途に使用されます。

近年では、金型以外の用途に使用される合金工具鋼をSKS（Steel Kogu Special）、金型用に使用されるものをSKD（Steel Kogu Dice）と呼ぶことが一般的です。これらの記号は、材料の識別を容易にするために用いられています。SKSは、主に切削工具やゲージなどの用途に使用され、SKDは、ダイスや金型などの用途に使用されます。金型用鋼は、特にダイス鋼とも呼ばれ、精密な形状を成形するために高い精度と耐久性が求められます。

合金工具鋼は、その多様な種類と優れた特性により、製造業における重要な材料として不可欠な存在となっています。適切な合金工具鋼を選択することで、製品の品質向上や生産性の向上に大きく貢献することができます。

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