タングステン

タングステンの概要



タングステン、またの名をウォルフラムは、原子番号74を持つ重要な金属元素です。その元素記号は「W」で、主に工業用途においてその特性が活用されています。タングステンは銀灰色に輝く重金属で、比重は19.3という非常に高い値を示します。この特性から、金の金属板を模倣する際に使用されたケースもあるほどです。

性質



タングステンの原子量は183.84であり、化学的には安定しています。融点は3380°C、沸点は5555°Cであり、金属において最も融点が高いことが特徴です。タングステンは通常硬く脆い印象がありますが、高純度のものは柔らかくなります。これ以外では、タングステン化合物にもさまざまな用途があります。

タングステンの化合物




タングステン酸塩鉱物には、灰重石（CaWO4）、鉄重石（FeWO4）、マンガン重石（MnWO4）が含まれ、これらはタングステンの採掘において重要です。

同位体



タングステンには、158Wから192Wまでの35種類の同位体が知られています。その中でも180W、182W、183W、184W、186Wは天然に存在します。相対的に長い半減期を持ち、崩壊が観測されたことはないと考えられています。

用途



タングステンの主な利用方法は、電球のフィラメントとして知られていますが、近年LEDの普及に伴って使用は減少しています。それでもなお、電子線装置や非消耗電極の材料として需要があります。また、切削工具や鉛の代替としても注目されています。特に狩猟用の散弾銃の弾丸や釣り道具でも見かけるようになりました。タングステンは比重が大きいため、同じ重量であれば小さな形状にデザインでき、飛距離を伸ばしたりする利点があります。

産出



タングステンは主に中華人民共和国で産出されており、年間52,000トンを誇ります。世界の生産量の80%以上を占め、他にはロシアやカナダ、オーストリアでも採掘されています。日本では香川県で小規模な鉱床が発見されましたが、現在は閉山しています。タングステンは産業や軍事において重要な金属ですが、地殻中の濃度は非常に低く、外部からの供給に依存しています。

歴史



タングステンの歴史は1781年にスウェーデンの化学者カール・ヴィルヘルム・シェーレが灰重石から酸化物を分離したことに始まります。1783年にはエルヤル兄弟が初めて単体を得て、ウォルフラムと名付けました。

タングステンの地名や由来は、特にその比重の高さに関連しています。「tungsten」はスウェーデン語で「重い石」を意味し、元素記号「W」はドイツ語の「Wolfram」に由来しています。この性質ゆえに、過去にはサルフェート鉱物の精製を妨げる存在として位置づけられました。

現代に至るまで、タングステンは市場価格が変動し続けており、輸出規制や需要の変化に影響される傾向があります。特に21世紀に入ってからは、中華人民共和国での需要の増加に伴い、取引価格が高騰しました。

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