吉原すみれ

吉原すみれ（よしはら すみれ）は、1949年12月15日にこの世に生を受けた日本の打楽器奏者であり、教育者としては武蔵野音楽大学の教授を務めています。ヨーロッパをはじめとする国際的な舞台と日本国内を股にかけ、精力的な演奏活動を展開しています。

幼少期を東京で過ごし、横浜で育った吉原は、早くから音楽の道を志しました。幼い頃には工藤昭二氏に師事してマリンバの技術を磨き、高校時代には小宅勇輔氏に教えを受けるなど、着実にその才能を開花させていきました。1968年に捜真女学校高等学部を卒業した後、日本の最高峰の音楽教育機関である東京芸術大学へ進学。音楽学部器楽科にて、打楽器全般を有賀誠門氏に、そして得意とするマリンバを高橋美智子氏に師事し、専門的な知識と技術を深めました。

東京芸術大学を卒業後、同大学大学院に進学。その在学中の1972年には、スイスで開催されたジュネーヴ国際音楽コンクールの打楽器部門で日本人として初めて優勝という快挙を成し遂げ、さらに各部門の最高位に贈られるプリ・アメリカン賞も獲得し、若くして国際的な注目を浴びることとなりました。この成功を皮切りに、そのキャリアは大きく加速します。

1977年には、ドイツのミュンヘン国際音楽コンクールにおいて2位に入賞（この年は1位該当者なし）し、再びその実力が国際的に認められました。この時期、名門RCAレコードからソロアルバムを発表し、ソリストとしての地位を確固たるものとしました。

日本国内でもその活躍は高く評価されました。1980年には、音楽界で権威あるサントリー音楽賞を受賞。また、彼女のアルバム「吉原すみれ・打楽器の世界１」は芸術祭において優秀賞に輝きました。アンサンブル活動においても重要な貢献をしています。1983年には、団員として所属するアンサンブル・ヴァン・ドリアンが中島健蔵音楽賞を受賞。さらに、2002年には、個人として第20回中島健蔵音楽賞を再度受賞し、その長年にわたる功績が称えられました。2003年度には朝日現代音楽賞を受賞するなど、現代音楽の分野における貢献も特筆されます。

ソリストとしての卓越した演奏に加え、吉原は様々なアンサンブルでも活躍しています。アンサンブル・ヴァン・ドリアンのほか、トライアングル・ミュージック・ツアーやアンサンブルタケミツといったグループにも参加し、幅広い音楽活動を展開しています。

録音作品も数多く発表しており、1979年には『Flashing』、1986年にはジャーナリストの立花隆氏が制作・録音を手がけた『とぎれた闇』をCDで発表。1993年には邦楽界で活躍する藤舎推峰氏との共演による『デュエル』をリリースするなど、ジャンルを超えたコラボレーションも行っています。

国際的な舞台での経験は、演奏活動だけでなく、コンクール審査員としても活かされています。ミュンヘン国際音楽コンクールでは1991年と1997年に、ジュネーヴ国際音楽コンクールでは1992年にそれぞれ審査員を務め、後進の育成や音楽界への貢献も果たしています。

武蔵野音楽大学の教授として、次世代の音楽家育成にも情熱を注いでおり、教育者としてもその手腕を発揮しています。国際コンクールでの輝かしい成績と、ソリスト、アンサンブル奏者、そして教育者としての多岐にわたる活動を通じて、吉原すみれは日本の打楽器界を代表する存在として、揺るぎない地位を築いています。その求心力のある演奏と豊かな音楽性は、多くの聴衆を魅了し続けています。

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