吉原三郎 (内務官僚)

吉原三郎

吉原三郎（よしはら さぶろう）は、1854年（嘉永7年）に生まれ、1916年（大正5年）に没した日本の内務官僚です。幼名は虎之助、号は陽山と称しました。内務次官、錦鶏間祗候を歴任し、地方行政や殖産事業に貢献しました。

生い立ちと教育

吉原三郎は、上総国夷隅郡作田村（現在の千葉県いすみ市）に、名主・吉原重郎の三男として生まれました。その後、吉原白水の養嗣子となります。幼少期から学問に励み、大多喜藩校、東金郷校、荻野山中県興譲館で学びました。

教員から官僚へ

当初、教員の道に進み、1874年（明治7年）に山梨県白井学校訓導試補に就任しました。その後、小学岩崎学校、小学梁木学校、小学松島学校でも教鞭をとりました。しかし、1876年（明治9年）に司法省法学校に入学し、法曹界を目指すことになります。

1885年（明治18年）には判事補に任官し、司法権大書記官、高知始審裁判所詰を歴任しましたが、1886年（明治19年）に辞任しました。その後、1889年（明治22年）に帝国大学法科大学法律学科（仏法）を卒業し、官僚としての道を歩み始めます。

官僚としての活躍

1889年（明治22年）11月、臨時帝国議会事務局試補に任じられたのを皮切りに、衆議院書記官、速記課長、兼守衛部長などを歴任しました。1890年（明治23年）には埼玉県書記官に転じ、その後、大阪府書記官、愛知県書記官などを務め、地方行政に携わりました。

1899年（明治32年）には香川県知事に就任し、岡山県知事を経て、1906年（明治39年）には内務省地方局長に就任しました。同年1月には内務次官に発令され、中央官界でも重要な役割を果たしました。1908年（明治41年）7月に退官しました。

東洋拓殖株式会社での活動

退官後、1908年（明治41年）12月には東洋拓殖株式会社副総裁に就任し、1913年（大正2年）12月には同総裁となり、殖産事業にも貢献しました。1916年（大正5年）10月まで在任しました。

栄典

吉原三郎は、その功績により以下の位階と勲章を授与されています。

位階
1891年（明治24年）11月28日 - 正七位
1897年（明治30年）2月10日 - 正六位
1909年（明治42年）3月10日 - 正四位
勲章等
1901年（明治34年）6月27日 - 勲四等瑞宝章
1905年（明治38年）6月24日 - 勲三等瑞宝章
1906年（明治39年）4月1日 - 勲二等旭日重光章・明治三十七八年従軍記章

1912年（明治45年）4月9日には、錦鶏間祗候を仰せ付けられました。

親族と伝記

娘婿には内務官僚の春藤嘉平がいます。また、吉原三郎の伝記として、露崎弥編『吉原三郎追懐録』（1937年）が残されています。

参考文献

* 秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。

吉原三郎は、教育者、法曹家、官僚、実業家として多岐にわたる分野で活躍し、日本の近代化に大きく貢献した人物です。

もう一度検索