吉岡安直

吉岡安直の生涯

吉岡安直（よしおか やすなお）は、1890年（明治23年）に大分県で生まれ、後に佐賀県の貿易商の養子となりました。中津中学校、第五高等学校を中退後、陸軍士官学校に進み、1913年（大正2年）に卒業。歩兵少尉に任官しました。

陸軍では、生徒隊付、連隊中隊長、参謀本部勤務などを経て、1932年（昭和7年）に関東軍参謀に就任。その後、陸軍士官学校教官を務めました。1942年（昭和17年）には陸軍中将に昇進しています。

満洲国での役割

1935年（昭和10年）から、吉岡は満洲国皇帝・愛新覚羅溥儀の御用掛として新京（現在の長春）に赴任しました。日本の駐満洲国大使館附武官も兼務し、満洲国の中枢で活動しました。第二次世界大戦末期には、ソ連軍の侵攻により溥儀とともに避難を余儀なくされましたが、日本の降伏後、ソ連軍に捕えられ、スパイ容疑で尋問を受けました。

1947年（昭和22年）にモスクワで死去。彼の墓はドンスコイ修道院内の日本人墓地にあります。1994年（平成6年）には、ロシア連邦政府によって名誉回復がなされ、不当な拘留であったことが認められました。

評価と人物像

吉岡は、満洲国において、関東軍と皇帝溥儀の連絡役として、影響力を持っていたとされています。溥儀自身は、回顧録の中で、吉岡の言動を批判的に記述しており、側室の暗殺に関与したとも証言しています。しかし、後の完全版では、裁判での証言について反省の弁を述べています。

一方、溥儀の弟の妻である嵯峨浩は、自著で吉岡を傲慢な人物と評する一方で、満洲国崩壊後の行動を称賛しています。また、吉岡と親しかった山口淑子（李香蘭）は、吉岡が皇帝を尊敬し、関東軍との板挟みで苦慮していたと証言しています。

満洲国皇帝であった溥儀の不満は、専制君主としての権限を求めるものでしたが、吉岡を含む側近たちは、立憲君主制についての講義を受けさせ、溥儀を説得しようと試みました。

栄典と家族

吉岡は、紀元二千六百年祝典記念章や満洲国建国神廟創建記念章を授与されています。また、弟の向山圭二も陸軍大佐でした。

吉岡安直と関連する人物・作品

吉岡安直に関連する人物や作品として、ラストエンペラー、甘粕正彦などが挙げられます。これらの作品を通して、吉岡の生きた時代とその役割について、より深く理解することができます。

吉岡安直の生涯は、激動の時代を背景に、軍人として、そして満洲国という複雑な政治状況の中で生きた人物の姿を映し出しています。その評価は分かれるものの、彼の存在は、当時の歴史を理解する上で重要な鍵となるでしょう。

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