吉岡宏起

吉岡宏起：アニメ業界を駆け抜けるプロデューサーの軌跡

吉岡宏起氏は、日本のアニメーション業界において重要な役割を担うプロデューサーです。現在、株式会社ENGIの代表取締役社長として、数々のアニメーション作品制作を成功に導いています。しかし、彼のキャリアパスは、決して順風満帆なものではありませんでした。

奈良県出身の吉岡氏は、高校時代、警察の不祥事を目の当たりにし、強い正義感から検察官を志し、近畿大学法学部に入学します。卒業後はプログラミングを学びたいという思いからHAL大阪校へ進学。その後、ゲームメーカーに就職しますが、プログラマーではなくプランナーとして採用されます。しかし、入社した会社は2年足らずで倒産。その後も、上司との価値観の違いから転職を繰り返すなど、波乱万丈な日々を送ることになります。様々な職を転々とした後、2004年、アニメ制作会社GONZOに入社しました。

GONZOでのキャリアは、吉岡氏の転機となります。2007年、短編アニメ『火男』（『アニ*クリ15』第1シーズン）で初めてプロデューサーとして作品に携わります。その後、GONZOのデジタル部門を受け継いで設立されたグラフィニカへ移籍。2014年には同社の取締役となり、同年公開のアニメーション映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』ではチーフアニメーションプロデューサーとして重要な役割を担いました。

2018年には、KADOKAWAやサミーの出資により設立されたENGIの立ち上げに参加。三浦和也氏、橋本隆希氏らと共にグラフィニカから移籍し、専務に就任しました。初代社長は元キュー・テック社長の梶尾徹氏でしたが、吉岡氏は設立当初から後継者として指名されており、2021年6月21日付でENGIの2代目社長に就任しました。

吉岡氏がプロデューサーとして関わった作品は多岐に渡ります。テレビアニメでは『ジャイロソプター』『ドルアーガの塔 〜the Aegis of URUK〜』『放課後のプレアデス』『旗揚!けものみち』『宇崎ちゃんは遊びたい!』『SHOW BY ROCK!! STARS!!』など、数多くの作品でアニメーションプロデューサー、3DCGプロデューサーとして制作に携わっています。劇場アニメでは『楽園追放 -Expelled from Paradise-』でチーフアニメーションプロデューサー、また『ガールズ＆パンツァー 劇場版』ではCGIエグゼクティブプロデューサーを務めました。OVA作品にも『サクラ大戦 ニューヨーク・紐育』『ストライクウィッチーズ Operation Victory Arrow』『ガールズ＆パンツァー 最終章』など、CGI関連のプロデュースで参加しています。

検察官という当初の夢とは異なる道を歩むことになった吉岡氏ですが、彼の経験と才能は、アニメーション業界に大きな貢献をもたらしています。法学部出身という経歴を生かし、緻密なプランニング能力と、困難な状況下でも粘り強く課題を解決していくリーダーシップは、多くのアニメ制作関係者から高く評価されています。これからも、吉岡氏の活躍から目が離せません。

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