吉川英史

吉川英史: 日本の音楽学者の歩み

吉川英史（きっかわ えいし、1909年2月13日生まれ）は、日本の音楽学者および文化功労者として広く知られています。彼は長いキャリアを通じて、日本の伝統音楽の研究とその普及に大きく貢献しました。彼の出身は広島県深安郡神辺町（現在の福山市）で、旧姓は佐藤、名は英士です。

学際的な学びの道のり

吉川は旧制福岡中学校（現在の福岡県立福岡高等学校）を卒業後、1933年に東京帝国大学文学部美学美術史学科を卒業しました。卒業後は、1945年から東京帝国大学の講師を務め、その後1946年から1949年にかけて東京音楽学校の講師を兼任しました。彼の研究は、後に東京芸術大学へと進み、教授として学生に教えを授けました。

特に、東京芸大邦楽科の新設に尽力したことが彼の業績の一つとして挙げられます。その後は武蔵野音楽大学の教授や東洋音楽学会の会長、義太夫協会の会長、琵琶楽協会の会長など、数々の重要な役職を歴任しました。さらに、宮城道雄記念館の館長としても活動しました。

受賞歴と文化への貢献

吉川英史の功績は多岐にわたり、1972年にはNHK放送文化賞および紫綬褒章を、1979年には勲三等瑞宝章を授与されました。1993年には文化功労者に選出され、1994年には母国の神辺町から名誉町民の称号を贈られました。また、彼は雑誌『季刊邦楽』の主幹としても関与し、邦楽の魅力を広める活動を行いました。

日本の伝統音楽の研究

吉川は、日本の伝統音楽の美学的研究に特に力を入れました。代表的な著作には「日本音楽の性格」、「日本音楽の歴史」、さらには「宮城道雄伝 この人なり」などがあります。これらの著作は、彼が日本音楽の特性や歴史を深く掘り下げた成果を示しています。

また、彼は一般向けの啓蒙書も数多く発表しており、戦後の邦楽発展に寄与したと評価されています。彼の書籍は、音楽学を学ぶ者だけではなく、一般の人々にも理解しやすい内容となっており、多くの人々に愛されました。

主な著書とその影響

吉川英史が著した主な書籍は以下の通りです：

• - 『日本音楽の性格』（1948年、わんや書店）
• - 『邦楽鑑賞』（1952年、宝文館）
• - 『邦楽鑑賞手帖』（1953年、創元社）
• - 『邦楽鑑賞入門』（1959年、創元社）
• - 『宮城道雄伝 この人なり』（1962年、新潮社）
• - 『日本音楽の歴史』（1965年、創元社）
• - 『邦楽への招待』（1967年、宝文館出版）
• - 『邦楽と人生』（1969年、創元社）
• - 『日本音楽の美的研究』（1984年、音楽之友社）
• - 『日本音楽文化史』（1989年、編者として創元社）
• - 『謝々天庵主人回想録』（1994年、邦楽社）

これらの著書は、日本の音楽に関する理解を深めるだけでなく、国際的な舞台でも邦楽の魅力を伝えています。吉川英史の業績は、今日の音楽教育や伝統音楽の保存、普及においても重要な影響を与え続けています。

日本の伝統音楽に対する彼の情熱と徹底した探求心は、後の世代に多大な影響を与え、彼の名は音楽界において長く語り継がれることになるでしょう。彼の多大な貢献に感謝の意を表しつつ、彼の業績を今後も大切にしていくことが求められています。

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