吉弘楽

吉弘楽（よしひろがく）は、大分県国東市武蔵地区に伝わる伝統的な太鼓踊りであり、1996年（平成8年）12月20日に重要無形民俗文化財に指定されました。

概要

吉弘楽は、武蔵町吉広地区にある楽庭（がくにわ）八幡神社の境内で、天下泰平、五穀豊穣、虫除け祈祷のために行われる神事芸能です。大分県各地に分布する太鼓踊りの一種であり、総勢49名の踊り手が参加します。

踊り手たちは、烏帽子、兜、陣笠などを被り、手甲、脚絆、腰蓑を身に着け、背中には旗指物を差した戦国時代風のいでたちで登場します。声迦（しょうが）と呼ばれる念仏を唱えながら、胸に吊るした太鼓を打ち鳴らし、隊形を様々に変化させながら踊ります。その勇壮な姿は見る者を魅了します。

かつては旧暦6月13日に毎年行われていましたが、近年では毎年7月の第4日曜日に開催されるようになっています。楽打ちは午前10時と午後2時の2回演じられます。

吉弘楽の演目である「ツグリ」は、神納（しんのう）、ガタガタ、ツクテンツク、道楽（みちがく）、四方固（しほうがため）、テンゴーゲー、念仏（ねんぶつ）、テンゴーゲー、シドロ、チーゴーゲー、テンダラマンダラ、チーゴーゲー、ツクマン、トーテンの14種類に及びます。これらを通しで演じる「一庭」には、1時間以上を要します。

歴史

吉弘楽は、南北朝時代に大友氏から分かれた田原氏の庶流である吉弘正堅が吉広に入封した際、柞原八幡宮の分霊を祀って創始されたと伝えられています。

その後、大友氏の滅亡により一時衰退しましたが、元禄10年（1697年）に杵築藩2代藩主松平重栄が、吉広から伝わり都甲松行に残っていた吉弘楽をこの地に復活させました。以来、連綿と伝統が受け継がれています。

また、吉弘楽のツグリが天台宗の七仏薬師法と類似していることから、この行事が密教の修法と関連があるとする説も存在します。

吉弘楽は、地域の人々によって大切に守り伝えられてきた貴重な文化遺産です。その勇壮な姿は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

外部リンク

文化財の紹介 - 吉弘楽（大分県） - 文化庁
吉弘楽 - 国指定文化財等データベース（文化庁）

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