吉村虎蔵

吉村虎蔵（よしむら とらぞう）は、1919年2月3日に福岡県福岡市で生まれた日本の工学者、土木工学者です。1995年6月14日に76歳で亡くなりました。彼は、構造力学と橋梁工学の理論的研究を専門とし、その分野で多くの功績を残しました。また、教育者としても活躍し、九州大学教授や有明工業高等専門学校校長などを歴任しました。

生涯

1919年、福岡県福岡市で生まれた吉村虎蔵は、1941年に九州帝国大学工学部土木工学科を卒業しました。卒業後は内務省九州土木出張所を経て、教育者としての道を歩み始めます。1947年に福岡高等工業学校、1950年には熊本工業専門学校、1951年には熊本大学工学部で教鞭を執り、1952年には同大学の助教授に就任しました。1954年には工学博士号を取得しています。

1955年、熊本大学工学部教授に就任し、1973年には九州大学工学部教授となりました。1980年には有明工業高等専門学校の校長に就任し、教育者として多くの学生を育成しました。1986年に退官するまで、教育と研究の両面で多大な貢献をしました。吉村虎蔵は、土木学会にも所属していました。

主な業績

吉村虎蔵は、数々の大規模な橋梁設計に携わりました。その代表的なものとして、関門国道トンネル、天草五橋、若戸大橋、九州自動車道、福岡県都市高速インター、高架橋などがあります。これらのプロジェクトを通して、日本のインフラ整備に大きく貢献しました。彼の専門知識と技術は、これらの構造物の安全性と効率性を高める上で不可欠でした。

研究論文と著書

吉村虎蔵は、数多くの研究論文を発表しました。主要な論文としては、「級数和を利用するモーメント分配法」（1954年）があり、これは彼の博士論文です。その他、「鉄筋コンクリート部材の接合に関する実験的研究」（1951年）、「抵抗線歪計を変換器とした橋梁の撓み測定用一変位計について」（1961年）、「はりあるいはラーメンとトラスとを組合せた構造物の動的および静的解析法について」（1965年）などがあります。

また、「振動式杭打機により発生する振動について」（1970年）といった共同研究報告や、共著として『構造力学例題演習 (標準土木工学例題演習シリーズ ; 3,4)』（1978年）などの書籍も執筆しています。

受章

1989年、長年の功績が認められ、秋の叙勲にて勲二等瑞宝章を受章しました。

吉村虎蔵は、その生涯を通じて土木工学の発展と後進の育成に尽力しました。彼の業績は、今日の日本のインフラを支える上で重要な礎となっています。

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