天草五橋

天草五橋

天草五橋は、熊本県宇土半島先端の三角から天草諸島の上島までを、五つの個性的な橋で繋ぐ全長17.4kmの道路です。この橋は、1966年9月24日に開通し、天草地域へのアクセスを飛躍的に向上させました。

概要

国道57号の五橋入口交差点から分岐し、第一号橋の天門橋を渡って大矢野島に入ります。その後、大矢野島を縦断し、第二号橋の大矢野橋、第三号橋の中の橋、第四号橋の前島橋を経て、第五号橋の松島橋で松島町会津へと至ります。当初は有料[[道路]]でしたが、開通後の観光客増加とモータリゼーションの進展により、わずか9年で償還を完了し、無料化されました。

天草五橋は、その美しい景観から「天草パールライン」とも呼ばれ、1987年には「日本の道100選」にも選ばれています。特に大矢野島から上島にかけての区間は、大小の島々が浮かぶ絶景が広がり、天草松島として日本三大松島の一つに数えられています。

各橋梁

天門橋（第一号橋）: 三角半島と大矢野島を結ぶ橋で、天草五橋の玄関口です。
大矢野橋（第二号橋）: 大矢野島と永浦島を結ぶ橋です。
中の橋（第三号橋）: 永浦島と池島を結ぶ橋です。
前島橋（第四号橋）: 池島と前島を結ぶ橋です。
松島橋（第五号橋）: 前島と松島町会津を結ぶ橋で、天草五橋の終点です。

歴史

天草諸島は、豊かな水産資源や真珠養殖に適した環境を持つ一方で、本土との交通の便が悪いという問題を抱えていました。1936年、県議会議員の森慈秀は、県議会で天草への架橋を提唱しましたが、当時の技術では実現不可能とされ、「ほら吹き」と揶揄されました。しかし、森の情熱は消えることなく、四半世紀を経て、1961年に天草五橋の着工が決定。1966年に完成しました。

天草五橋の開通は、天草の生活、産業、観光に大きな変革をもたらしました。

年表

1922年：天草に鉄道を編入する請願決議。
1932年：熊本県議会で「本土ー天草間の架橋」が提唱される。
1936年：森慈秀県議が架橋を提言。
1953年：離島振興法の指定地域となり、道路網整備が可能に。
1953年：蓮田敬介県議が天草架橋構想を提案。
1954年：建設局長が天草架橋は可能と発言。
1954年：天草架橋期成会設立。
1955年：建設大臣が天草架橋は夢ではないと発言。
1955年：島民一人一円献金が始まる。
1955年：西海橋完成が天草架橋計画を刺激。
1955年：天草架橋正式申請。
1956年：日本[[道路公団]]発足、調査開始。
1958年：建設大臣が着工を約束。
1960年：NHKニュースで天草連絡道路計画発表。
1960年：天皇が架橋について質問、道路公団総裁が着工を回答。
1961年：天草環状道路貫通。
1961年：建設大臣が天草架橋の実現を明言。
1962年：日本[[道路公団]]内に架橋工事事務所設置、起工式。
1964年 - 1966年：架橋を描いたテレビドラマ『虹の設計』放映。
1966年：天草五橋供用開始。
1975年：償還完了により無料開放。

地理

天草五橋が架かる天草諸島は、雲仙天草国立公園の一部であり、風光明媚な景観で知られています。特に、大矢野島と上島の間に点在する島々は天草松島と呼ばれ、美しい海と島々の調和が訪れる人々を魅了します。ルート上には展望台も設置され、高舞登山や千巌山からも天草五橋と天草松島の絶景を望むことができます。天門橋は、他の四つの橋とは少し離れて、三角ノ瀬戸と呼ばれる海峡に架かっています。

脚注

天草五橋は、単なる道路ではなく、天草の人々の夢と情熱が形になったものであり、その歴史と景観は多くの人々に感動を与え続けています。

参考文献

『工事報告 天草五橋』 (社)土木学会 1966/05
『天草建設文化史』 天草地区建設業協会 1978/05
『新・天草学』熊本日日新聞社 1987
『天草の歴史』郷土出版社 ISBN 978-4-87663-932-8
天草地区建設業組合 『天草建設文化史』秀巧社 1978年
天草五橋の橋梁台帳（編集：天草地域振興局）保存　熊本県庁
須藤英一『新・日本百名道』大泉書店、2013年。ISBN 978-4-278-04113-2。
『地方創生に駆けた男-天草架橋・離島振興に命を賭した森國久』熊本出版文化会館(2016/9/24)
「熊本県広報『くまもと』1962/NO155 特別号」
「日本の道100選」研究会 著、国土交通省道路局（監修） 編『日本の道100選〈新版〉』ぎょうせい、2002年6月20日、206-207頁。ISBN 4-324-06810-0。
『評伝 天草五十人衆』天草学研究会[編] 弦書房 2016年

関連項目

無料開放された[[道路一覧]]
あまくさ号（五橋を経由して熊本と本渡を結ぶ快速バス）
熊本県民テレビ（同局放送終了時の映像に使用されている。）
* 森国久 - 架橋の実現を公約とした龍ヶ岳町町長。

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