吉水金吾と林喜一郎の抗争事件

吉水金吾と林喜一郎の抗争事件

この抗争事件は、昭和26年（1951年）の12月初旬、神奈川県横浜市で発生しました。吉水金吾が率いる愚連隊と、林喜一郎（後に稲川会の会長代行となる）の指揮する愚連隊との間で激しい闘争が繰り広げられました。

事件の発端

当時、吉水と林は両者ともに横浜市内で外国人を対象とした売春宿「パンパンハウス」を経営していました。彼らは同じ業界で兄弟分としての関係にありましたが、次第に利益の分配に関する対立が表面化しました。この状況が、抗争へと発展する引き金となりました。

1951年12月初旬、事件は横浜市長者町の映画館「オリンピア」の前で始まりました。吉水の舎弟である三輪謙と土村清之が、林の子分である井藤茂を刺傷しました。この事件を知った林は、自らの子分である和沢譲次と米内光介に、吉水側の子分を誘拐する指示を出しました。

抗争の激化

和沢と米内は横浜市内の喫茶店を巡回し、井藤を刺したのが三輪と土村であることを突き止め、急いで二人を拘束しようとしました。しかし、三輪と土村は逃亡に成功し、逃げる途中で米内が刺殺されるという衝撃的な展開が待っていました。この情報を受けて、林は40人以上の子分を動員し、小田原からも井上が応援に駆けつけました。これにより、事態は急速に緊迫したものとなりました。

横浜市警察もこの騒動を受けて、主要道路を封鎖しました。状況の収拾を図るため、加藤伝太郎（堀井一家総長）と和田永吉が仲裁に乗り出します。和田は大船の横山新次郎と連絡を取り、この問題の解決策を模索しました。

仲裁と和解

横山新次郎のもとで、和田は出口と井上を同伴し、事態を掌握しようとしました。彼らは寿警察署に赴き、署長に吉水と林の仲裁を依頼しました。署長は了承し、横山はそうした状況下で両者を対面させました。

この和解の場で、横山は吉水と林に、自らが稲川組傘下となるよう説得しました。最終的に両者はこれを受け入れ、抗争は収束に向かいました。吉水と林の配下も100人以上が稲川組の傘下に入ることで、かつての敵同士が手を組む形となりました。

結果と影響

この抗争事件を経て、吉水金吾と林喜一郎の関係は根本的に変わりました。彼らは敵としての立場から協力者に変わり、稲川会の内部分裂を防ぐための重要な一歩を踏み出したのです。また、組織内での権力構図も大きく変わり、以後の横浜市内の愚連隊の動向にも影響を与えました。

この事件は、戦後の混乱期におけるヤクザの抗争の複雑さを物語るものであり、彼らの利権争いが社会に与えた影響を示しています。

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