吉永嘉明

吉永 嘉明: 編集者・ライターの軌跡

吉永嘉明（よしなが よしあき、1962年 - 2014年消息不明）は、日本の著名な編集者およびライターであり、特に1990年代に多岐にわたる雑誌やムックの編集に従事しました。彼は明治大学の文学部を卒業後、特殊海外旅行に関する雑誌の編集に携わり、青山正明のもとでそのキャリアを築きました。彼の業績や背景には、彼自身の苦悩や友情が色濃く反映されています。

経歴と業績

彼は1962年に東京都に生まれ、明治大学を卒業後、海外旅行情報に特化した雑誌『エキセントリック』の編集部に勤務しました。その後、青山正明が創設した編集プロダクション「東京公司」に参加し、特殊な海外旅行に関するムック編集に情熱を注ぎました。「東京公司」での仕事を通じて、彼は1992年に『タイ読本』や『裏ハワイ読本』など、多くの読者に支持される作品を手がけました。

1995年には、鬼畜系ムック『危ない1号』の創刊に寄与し、副編集長を務めた後には、編集長へと昇進しました。多様な視点と独特なテーマで知られるこの作品は、彼の編集者としての才能を世に知らしめる大きな契機となりました。

私生活の悲劇

しかし、吉永は私生活で大きな試練に直面します。友人の漫画家ねこぢるや、相棒の青山正明、最愛の妻を自殺で失い、心に重い影を抱えることとなります。これにより、吉永は重度のうつ病を経験し、精神的に非常に辛い状況に置かれました。

このような状況の中、彼は赤田祐一からの執筆依頼を受けて、初の著書『自殺されちゃった僕』を執筆します。この本は、彼の経験や心の内を赤裸々に語ったもので、多くの人々に強い印象を与えました。また、この作品は文庫版としても再出版され、幅広い読者に親しまれています。

さらに、吉永は同書の続編的な位置付けにあたる「自殺されちゃった僕たち」を『実話GON!ナックルズ』に連載し、全32回に渡って彼の思いや経験を綴りましたが、この連載は未だ単行本化されていません。

最後の足跡

2014年、吉永嘉明の名前は文芸同人誌『ウィッチンケア』で自伝的小説「ポケットの中には」と共に最後に表れ、その後の彼の消息は完全に途絶えてしまいました。彼の元担当編集者である岡本奇太郎は、Instagramで彼の行方を探し続ける人々へ向けて発信を行い、彼を知る人物からの情報を求めています。

著作一覧

• - 自殺されちゃった僕（飛鳥新社 2004年）
• - 文庫版（幻冬舎アウトロー文庫 2008年）
• - 共著

- タイ読本 絶対保存版!（青山正明との共著、別冊宝島 1992年）
- タイ極楽ガイド 表も裏もまるかじり（宝島社文庫 2000年）
- 裏ハワイ読本 絶対保存版!（青山正明との共著、別冊宝島 1993年）
- 麻薬とは何か「禁断の果実」五千年史（佐藤哲彦、清野栄一との共著、新潮選書 2009年）

• - 編著

- エキセントリック 第3号（全英出版 1990年頃）
- 危ない1号 第1巻 特集／ドラッグ（データハウス 1995年）

吉永嘉明は、その多才な表現と独特な視点で多くの読者に影響を与えた編集者でしたが、その人生は悲劇的な出来事で彩られていました。彼の作品や人柄を通じて、その思いを忘れないようにしたいものです。

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