危ない1号

『危ない1号』の紹介

『危ない1号』は、1995年に発刊された鬼畜系文化の代表的なムックです。東京公司が制作し、悪趣味やアンダーグラウンドなサブカルチャーをテーマにしています。この雑誌は、特に日本の鬼畜ブームの走りとも言える存在で、各巻ごとに多岐にわたる、しばしば刺激的なコンテンツが盛り込まれています。

編集の経緯と特徴

本誌は「妄想にタブーなし」をテーマにし、ドラッグや強姦、死体、そしてカルト映画など、当時の社会ではタブー視されていた情報を幅広く扱いました。第1巻では「特集／ドラッグ」と題し、基本的なドラッグ知識から海外のドラッグ事情までが詳述されています。様々な違法性を伴うコンテンツが目白押しではありますが、製作チームは法律の専門家と協議し、当時の法規制の範囲内での情報提供を目指しました。

特に印象的なのは、編集長に青山正明が就任した背景です。彼は残念ながら第1巻の発刊直前に逮捕され、その影響で副編集長の吉永嘉明が編集作業を引き継ぎ、青山が留置場から遠隔で編集会議を行うことになりました。このような劇的なスタートが、雑誌の既成概念の打破と、さらなるスリリングな展開を後押ししました。

鬼畜ナイトと読者の反響

1996年には新宿のロフトプラスワンにて『危ない1号』関係者によるイベント「鬼畜ナイト」が開催されました。このイベントには、鬼畜系文化に携わる多くの文化人が参加し、刺激的かつ挑戦的なトークセッションが行われました。このように、物議を醸す傾向のイベントを通じて、読者との接点を持つことにも成功しました。

結果として、『危ない1号』はシリーズ累計で25万部を超える大ヒットを記録し、読者にはそのエッジの効いた内容が受け入れられました。実際に多くの読者からのアンケートの半数は女性から寄せられるなど、予想外の人気を持っていました。

鬼畜系特集と社員の葛藤

第2巻では「特集／キ印良品」と題し、殺人や変態、フリークスに関する詳細なコンテンツを集め、「鬼畜系カルチャー入門講座」として再構成されました。青山は、この巻についてのインタビューで、読者にとっての刺激と共鳴が得られたことを誇りに思っていたことを語っています。

一方で、青山は本誌が社会の深淵な部分へと読者を誘っていることに対して持っていた葛藤もありました。精神的な負担や自らの闇に向かう様子が、やがて彼の心を蝕むことになります。

廃刊と影響

『危ない1号』は1999年に第4巻をもって廃刊となりました。この巻では、青山の過去の作品が集められ、彼の集大成として編纂されましたが、同時に彼の変容や思想の成熟も示されることとなります。

後の季刊誌『危ない28号』が創刊されるも、こちらも有害図書指定がなされるなど、その内容から議論を呼ぶことになります。『危ない1号』はメディアとして大きな影響を与え、日本のサブカルチャーにおける「悪趣味」を象徴する存在となったのです。誌面には込められた思想や文化的なメッセージが、今なお語り継がれています。

このように『危ない1号』は、その刺激的かつ過激な内容で、90年代の文化に名を刻み続けているのです。

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