吉沢忠

吉沢 忠（よしざわ ちゅう）

概要

吉沢忠は1909年6月15日に東京府で生まれ、1988年1月12日に亡くなった日本の著名な美術史学者です。彼は東京藝術大学の名誉教授であり、特に日本南画の研究において顕著な業績を残しました。

学歴と職歴

吉沢は東京帝国大学を卒業後、東京国立博物館に勤務しました。その後、多摩美術大学で講師として教える一方、東京芸術大学では助教授としての職務を務めました。彼は1967年に教授に昇進し、1973年には定年退官を迎えました。この時点で、東京芸術大学の名誉教授という称号を授与されました。彼のキャリアを通じて、美術教育に対する彼の貢献は高く評価されています。

研究テーマ

吉沢の専門分野は日本南画であり、彼はこのジャンルの歴史的背景や技法について深く掘り下げました。特に渡辺崋山に関する研究は彼の代表的な業績です。彼の研究は、南画が持つ美的価値や文化的意義を解明することで、日本の伝統的な美術の重要性を再評価させるものとなりました。

主要著書

彼が執筆した著作の中で、以下は特に重要です：

• - 崋山（1949年1月、 小山書店）
• - 渡辺崋山（1954年、講談社）
• - 古美術と現代（1954年、東京大学出版会）
• - 横山大観の芸術 日本画近代化のたたかい（1958年、美術出版社）
• - 日本の南画 水墨美術大系別巻 第1（1976年、講談社）
• - 日本南画論攷（1977年、講談社）

このように、彼の著作は南画とは何か、その魅力を広く紹介し、さらに現代に対するつながりを探求する内容が多く見られます。

編著および共著

また、彼は多くの編著や共著も手掛け、広範な美術の視点を提供しました。代表的なものには、以下があります：

• - 日本の名画（田中一松共著、1953年、講談社）
• - 原色版美術ライブラリー 第110 南画（1958年、みすず書房）
• - 日本美術大系 第5巻 近世絵画（1959年、講談社）
• - 講談社版日本近代絵画全集 第15巻 横山大観（1962年）

彼の編著作は、南画の枠を超えた日本の美術全般に対する理解を深める手助けとなりました。

遺産と影響

吉沢忠の業績は、彼の死後も多くの研究者や芸術愛好者に影響を与え続けています。彼が提唱した南画の新しい視点や評価は、今後の美術史の研究においても重要な位置を占めるでしょう。彼の献身的な研究活動は、日本の美術界における重要な一歩となったことは間違いありません。

出典

• - 日本人名大辞典

以上のように、吉沢忠の生涯は日本の美術史における重要な一章であり、その研究は新たな視野を開く貴重なものでした。

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