吉田伊知郎

吉田伊知郎（よしだ いちろう）は、1978年生まれの日本の映画評論家、映画ライターです。兵庫県出身で、大阪芸術大学映像学科を卒業しています。映画評論家としての活動以外に、「モルモット吉田」という別名義も持っています。

2004年、映画ブログ『映画をめぐる怠惰な日常』を開設したのが、映画評論家としてのキャリアの始まりでした。その後、2007年からはパンフレットやミニコミ誌への寄稿を開始し、徐々に商業誌へも活動の場を広げていきます。

吉田の著作で特に知られているのは、2017年に出版された『映画評論・入門！観る、読む、書く』（洋泉社）です。この本は、映画評論の入門書として高く評価され、キネマ旬報社が主催する映画本大賞2017で第11位に選出されました。また、町山智浩氏の著書『〈映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀』（新潮文庫、2017年）では巻末解説を担当し、この際に町山氏から「そろそろモルモット以外の名前も使えば？」と助言されたことがきっかけで、＜吉田伊知郎＞という筆名を使用するようになったというエピソードも知られています。

吉田は、映画専門誌『キネマ旬報』、『映画芸術』、『映画秘宝』の年間ベスト・テン選考メンバー、毎日映画コンクール審査員を務めるなど、映画評論家として確固たる地位を築いています。映画に対する深い知識と独自の視点から繰り出される批評は、多くの映画ファンから支持されています。

また、音楽評論家の菊地成孔氏は、吉田との対談の際、吉田のことを「秘宝のニュースクーラー」と評しています。

吉田の著書には、以下のものがあります。

単著
『映画評論・入門！観る、読む、書く』（洋泉社、2017年）
『映画監督 大島渚の戦い 「戦場のメリークリスマス」への軌跡』（ディスカヴァー・トゥエンティワン、2022年）

共著
『映画「東京オリンピック」1964』（復刊ドットコム、2020年）
『映画監督、北野武。』（フィルムアート社、2017年）
『「シン・ゴジラ」をどう観るか』（河出書房新社、2016年）
『園子温映画全研究1985-2012』（洋泉社、2012年）

吉田は、雑誌連載も多数抱えています。主な連載には、以下のようなものがあります。

シナリオ評（月刊シナリオ、2013年10月号～2019年12月号）
キネ旬Review（キネマ旬報、2012年6月下旬号～2019年8月下旬号、2023年8月号〜）
映画本読み買い日記（映画秘宝セレクションブックレット、vol.1～）
黒沢清、10人の映画監督を語る（アプリぴあ、2018年8月、全10回）
PFF 疾風怒濤の40年！（アプリぴあ、2018年8月〜9月）
塚本晋也、映画作りは、冒険！（アプリぴあ、2018年11月〜12月、全10回）
中島貞夫、ちゃんばらの美学（アプリぴあ、2019年4月〜5月、全10回）
水先案内人（アプリぴあ、2018年8月～）
気まぐれ映画館（中央公論 、2023年1月号～）

また、吉田は、数多くの書籍にも執筆参加しています。

主な執筆参加書籍
『市川崑大全』（洋泉社、2008年）
『金田一耕助映像読本』（洋泉社、2013年）
『パシフィック・リム』（角川文庫、2013年）巻末解説
『完全版アナーキー日本映画史1959－2016）』（洋泉社、2016年）
『皆殺し映画通信 冥府魔道』柳下毅一郎・著（カンゼン、2016年）巻末対談
『〈映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀』町山智浩・著（新潮文庫、2017年）巻末解説
『KAWADE夢ムック 文藝別冊 総特集 大林宣彦』（河出書房新社、2017年）
『三船敏郎全映画』（洋泉社、2018年）
『別冊映画秘宝』シリーズ（洋泉社）
『映画秘宝EX映画の必修科目』シリーズ（洋泉社）
『特撮秘宝』シリーズ（洋泉社）
『観ずに死ねるか！』シリーズ（鉄人社）
『フィルムメーカーズ』シリーズ（宮帯出版社）
『岩井俊二 「Love Letter」から「ラストレター」、そして「チィファの手紙」へ』（河出書房新社、2020年）
『デヴィッド・ボウイ:美しきアクター』（リットーミュージック、2022年）

さらに、吉田は以下の書籍の編集協力も務めています。

『市川崑「悪魔の手毬唄」完全資料集成』（洋泉社、2017年）
『市川崑「犬神家の一族」完全資料集成』（KADOKAWA、2022年）

また、番組構成にも携わっており、是枝裕和×想田和弘　ドキュメンタリーを考える（日本映画専門チャンネル、2018年）の構成を担当しました。

吉田伊知郎は、映画評論家、映画ライターとして、多岐にわたる活動を通して、日本の映画界に貢献し続けています。

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