吉田傑俊

吉田傑俊（よしだ まさとし）は、1940年7月29日に大阪市で生まれた日本の哲学者であり、法政大学の名誉教授です。彼の専門は哲学と思想史であり、特に唯物論研究協会では委員長を務めた経歴を持ちます。

学歴としては、1965年に京都大学文学部哲学科を卒業し、1967年には同大学院の修士課程を修了しています。その後、神戸大学文学部助手、鹿児島大学教育学部講師、助教授、教授を経て、法政大学社会学部の教授に就任しました。1996年には唯物論研究協会の委員長に選出され、2011年には法政大学の名誉教授となっています。

吉田傑俊の研究は、日本の思想史、特に戦後思想における様々な問題点に焦点を当てています。彼の著書には、以下のようなものが含まれます。

『唯物論と日本イデオロギー』（1980年、汐文社）
『戦後思想論』（1984年、青木書店）
『現代思想論 プレモダン・モダン・ポストモダン批判』（1989年、白石書店）
『現代民主主義の思想』（1990年、青木書店）
『知識人の近代日本』（1993年、大月書店）
『マルクス思想の現代的可能性 民主主義・市民社会・社会主義』（1997年、大月書店）
『国家と市民社会の哲学』（2000年、青木書店）
『市民社会論 その理論と歴史』（2005年、大月書店）
『近代日本思想論 1　福沢諭吉と中江兆民 〈近代化〉と〈民主化〉の思想』（2008年、大月書店）
『近代日本思想論 2「京都学派」の哲学 西田・三木・戸坂を中心に』（2011年、大月書店）
『近代日本思想論 3 丸山眞男と戦後思想』（2013年、大月書店）
『象徴天皇制考 その現在・成立・将来』（2018年、本の泉社）

これらの著書から、吉田が日本の思想史において、特に近代から現代にかけての思想的な変遷を詳細に分析していることが伺えます。また、民主主義、市民社会、マルクス主義といったテーマに関しても、深い考察を行っています。

共編著としては、以下のようなものがあります。

『現代日本の思想 伝統と転回』（1988年、梓出版社）
『ハーバマスを読む』（1995年、大月書店）
『戸坂潤の哲学』（2001年、こぶし文庫）
『「共生」思想の探求 アジアの視点から』（2002年、青木書店）
『アーレントとマルクス』（2003年、大月書店）
『古在由重の哲学』（2006年、こぶし文庫）
『哲学中辞典』（2016年、知泉書館）

これらの共編著からは、他の研究者との共同研究を通じて、幅広いテーマに取り組んでいたことがわかります。特に、ハーバマス、戸坂潤、アーレント、マルクスといった思想家たちに関する研究は、彼の思想的な関心の広さを示しています。

翻訳としては、

デヴィド・マクレラン、ショーン・セイヤーズ編著『社会主義と民主主義』（1996年、文理閣）
* ジョン・エーレンベルク『市民社会論 歴史的・批判的考察』（2001年、青木書店）

があり、海外の重要な研究成果を日本に紹介する役割も果たしています。

論文については、Ciniiで閲覧可能で、彼の研究活動の幅広い側面を知ることができます。

吉田傑俊は、その長年の研究活動を通じて、日本の哲学・思想界に多大な貢献をしてきました。特に、戦後日本の思想状況を批判的に分析し、民主主義や市民社会といった現代社会の基盤となる概念を深く掘り下げて考察してきたことが特筆されます。

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