吉田清英

吉田清英：激動の時代を生きた薩摩藩士、内務官僚、養蚕家

吉田清英（よしだ きよひで）は、1840年11月10日（天保11年10月17日）に薩摩藩士の三男として生まれ、1918年（大正7年）2月18日にその生涯を閉じました。幕末には薩摩藩士として戊辰戦争に従軍し、明治維新後は内務官僚として地方行政に携わりました。特に埼玉県知事時代には、産業振興、中でも養蚕業の発展に大きく貢献しました。また、退官後は養蚕指導者として地域社会の発展に尽力しました。

幕末の動乱と戊辰戦争

吉田清英は、薩摩藩士・吉田仲八の三男として、鹿児島城下加治屋町で生を受けました。幕末の動乱期には、戊辰戦争において東征軍鎮撫使西園寺公望に随行し、山陰道を進軍。その後、北陸道に進軍し、大小荷駄方差引役、長岡出張参謀本営の北陸道総大小荷駄方を歴任しました。これらの戦功により、明治2年3月には賞典禄6石を賜っています。

明治政府での活躍

明治維新後、吉田清英は新政府に出仕し、東京府権典事を皮切りに、下議員御用掛、東京府大属、酒田県七等出仕、兼七等判事などを歴任しました。明治9年（1876年）には埼玉県権参事に転任し、その後、少書記官、大書記官を経て、明治15年（1882年）には埼玉県令に昇進しました。明治19年（1886年）には地方官官制改正に伴い、埼玉県知事に就任しています。

埼玉県知事としての功績と課題

埼玉県知事として、吉田清英は産業振興、特に蚕糸業の発展に尽力しました。しかし、藩閥政府に忠実な県政運営は、立憲改進党系の勢力が多数を占める県会との対立を招きました。秩父事件においては軍隊を導入して鎮圧したほか、県庁を浦和町から熊谷町に移転しようとするなど、その強硬な姿勢は県会からの反発を招きました。最終的に、明治22年（1889年）に知事を非職となり、明治25年（1892年）に退官しました。

退官後の活動と養蚕業への貢献

退官後、吉田清英は児玉郡本庄町に移住し、養蚕の指導や桑園の経営に取り組みました。明治24年（1891年）には日本蚕種貯蔵株式会社の設立に参画し、後に第三代社長に就任。その養蚕業振興の功績が認められ、明治43年（1910年）には藍綬褒章を受章しました。

その生涯と遺産

吉田清英は、幕末の動乱から明治の激動期を生き抜き、地方行政と産業振興に大きく貢献しました。埼玉県知事としての功績とともに、養蚕家としての地域社会への貢献も忘れてはなりません。彼の生涯は、日本の近代化を支えた人々の努力と、その足跡を今に伝えています。

栄典

吉田清英は、その功績により、以下の位階と勲章を授与されています。

位階
1893年（明治26年）2月28日 - 正五位
1918年（大正7年）2月18日 - 従四位
授章
1885年（明治18年）11月19日 - 勲六等単光旭日章
1887年（明治20年）7月21日 - 銀製黄綬褒章
1889年（明治22年）
11月29日 - 大日本帝国憲法発布記念章
12月27日 - 勲五等瑞宝章
1910年（明治43年）7月12日 - 藍綬褒章

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