立憲改進党

立憲改進党（りっけんかいしんとう）

立憲改進党は、明治時代に成立した自由民権運動の主要政党の一つであり、1882年から1896年までの間に活動していました。本党は、大隈重信を初代総理とし、河野敏鎌が副総理に就任するなど、当時の政界で重要な役割を担いました。日本の政治史の中では、自由党の急進的な立ち位置に対抗して、より穏やかで漸進的な改革を目指す政党として位置づけられています。

結党の背景

1882年、大隈重信は明治十四年の政変で政府を追放された経験をもとに新たな党結成を模索しました。そして同年の3月14日に党の施策を記した趣意書を発表し、4月16日に東京の明治会堂で結党式を行いました。この時、党の指導陣として大隈、河野の他に小野梓、牟田口元学、春木義彰が掌事に就任しました。本党には、様々な背景を持つメンバーが集まり、複数の派閥が形成されていきました。

派閥とグループ

立憲改進党内には、いくつかの主要なグループが存在していました。

• - 東洋議政会: このグループは、矢野文雄、尾崎行雄、犬養毅といった慶應義塾出身者によって構成され、『郵便報知新聞』を機関紙として利用しました。
• - 嚶鳴社: 沼間守一、島田三郎、肥塚龍等がメンバーとなり、関東・東北を基盤にし、『東京横浜毎日新聞』を機関紙としました。
• - 鷗渡会: 若手のリーダーたち、小野梓、高田早苗、天野為之が集うこのグループは後に東京専門学校（現在の早稲田大学）の設立に関与しました。
• - 修進会: 旧官僚の河野敏鎌、牟田口元学、春木義彰らが中心のこのグループは、改進党の初期の政策形成に寄与しました。

政府の圧力と解党の危機

1883年頃から政府からの圧力が強まる中で、自由党との関係が複雑化しました。自由党の板垣退助に対する疑惑追及もあり、結果的に本党内での対立が激化しました。1884年には組織改革を巡っての紛糾が起こり、解党の危機も経験しましたが、大隈と河野敏鎌らの脱党後も集団指導体制により何とか解党は免れました。

活動と影響

立憲改進党は、三大事件建白運動や大同団結運動に参加し、自由党と行動を共にしました。しかし、1888年に起こった大隈の外務大臣入閣などが影響し、自由党との関係は微妙になっていきました。それでも、第1回衆議院議員総選挙では41議席を獲得し、地租軽減問題では共闘の姿勢を保持しました。

最終的な変遷

1893年には国民協会と連携し始め、自由党側とは対立を深めました。日清戦争による国内外の状況の変化も影響し、党勢を回復しました。しかし、1896年3月に立憲革新党や大手倶楽部と合併し進歩党が結成され、正式に立憲改進党は解党されました。

政策と支持基盤

立憲改進党は趣意書において、「王室の尊栄と人民の幸福」のために急激な変革を避け、漸進的な改良を目指すと明言しました。イギリス流の立憲君主政治を模範とし、都市の商業資本家や知識人層を支持基盤としていました。

まとめ

立憲改進党は、日本の政党史において注目すべき存在であり、自由民権運動の一翼を担い、漸進主義的な政策を推進していました。その歩みは日本の民主主義の発展に多大な影響を与えました。

もう一度検索