吉良義冬

吉良 義冬（きら よしふゆ）

吉良義冬は、江戸時代前期に活躍した高家旗本であり、赤穂事件で名を馳せる吉良義央の父として知られています。彼の通称は左京で、官位は従四位下・左少将、若狭守を歴任しました。

生い立ちと初期の経歴

義冬は慶長12年（1607年）に、高家の家系である吉良家に生まれました。父は高家吉良義弥、母は今川氏真の子である今川範以の娘です。義冬は11歳の元和3年（1617年）、当時の将軍であった徳川秀忠に拝謁します。この時期から彼の官位は次第に上昇していきます。

寛永3年（1626年）には従五位下・侍従に叙任され、若狭守の称号を得ることとなります。さらに、寛永11年（1634年）には父と共に京都に上洛し、徳川家光の京都訪問に先立っての活動が見られます。

御家中の活動と官位の昇進

義冬は寛永17年（1640年）には武蔵国仙波（現在の川越市）での仙波東照宮再建に従事し、貢献している様子が見受けられます。寛永20年（1643年）には吉良家の相続がかなりスムーズに行われ、石高は3000石から始まり、義冬が与えられていた1000石を合わせて合計4000石となりました。

その後も彼は徳川家綱の元服の際や将軍宣下の際に副使として京都に赴き、常に政務に関与しました。正保元年（1644年）には家光に父の遺品である兼好法師の『伊勢物語』を献上し、さらに家綱には土佐光信の画巻を贈呈しました。

正保2年（1645年）、家綱の元服の謝使として京都に行った際には、従四位下に昇進し、その後も高家としての地位をしっかりと築いていきました。慶安4年（1651年）には、再度京都に赴いて左近衛少将の官位を得ています。

死去とその後の家系

義冬はその生涯を通じて高家として多忙な日々を送り、寛文8年（1668年）に62歳で亡くなりました。彼には正妻として酒井忠吉の娘・茂姫があり、子供は6人が記録されています。家督は長男の義央が継ぐことになりますが、後の赤穂事件により義央は横死。家系の存続が危ぶまれました。

次男の義叔と三男の義孝はそれぞれ別家を立てて旗本となり、「東条」を称しましたが、彼らの実子は無く、四男の冬貞は義叔の、五男の冬重は義孝の養子となっています。最終的に、義孝流の東条家は断絶しますが、義叔流の東条家は存続し、後に「吉良」と名乗るようになりました。

最後に、義冬の六男である孝証は出家し、関わりの深い豊蔵坊信海の弟子としての生活を送りました。

参考文献

『寛政重修諸家譜』巻第九十二

吉良義冬の生涯は、当時の政治や家族の関係性を反映する興味深いものであり、彼の子孫にまで影響を与えることとなりました。

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