同人雑誌賞

同人雑誌賞について

同人雑誌賞（どうじんざっししょう）は、1954年に新潮社によって設けられた、日本の文学賞の一つです。この賞は新潮社四大文学賞の一環としてスタートし、特に同人活動の中から才能を発掘する目的がありました。

賞の特徴

この文学賞は、毎年12月号の『新潮』に特集が組まれ、編集部によって選考された同人雑誌の作品が対象となります。受賞作品は新潮社の一誌である『新潮』に掲載され、広く読者に知れ渡る機会となるため、新進作家にとって重要な出発点となりました。

受賞者には、記念品に加えて副賞として賞金が授与されていました。初期の第1回から第7回までの受賞者には5万円が贈られ、その後の第8回からは10万円の賞金が用意されました。また、受賞作を掲載した同人誌自体にも同額の賞金が与えられ、その活動が評価される仕組みになっていました。

同人雑誌賞は、1967年10月に新潮文芸振興会が設立されたことを契機に、終了することとなり、翌1968年からは新潮新人賞へと受け継がれました。これにより、同人活動から次世代の作家を育成する流れが継続されることになったのです。

過去の受賞作

同人雑誌賞では多くの文学的成果が生まれました。第1回（1954年）の受賞作には、石崎晴央の「燒繪玻璃」が選ばれており、その後も著名な作品が輩出されています。各年度の受賞作は、各地の同人誌から選出され、多様な視点と表現が持ち込まれました。

以下に、主要な受賞作品を挙げます：

• - 第2回（1955年） - 三浦哲郎「十五歳の周圍」
• - 第3回（1956年） - 瀬戸内晴美「女子大生・曲愛玲」
• - 第4回（1957年） - 副田義也「闘牛」
• - 第5回（1958年） - 神崎真一「大宮踊り」
• - 第6回（1959年） - 田木敏智「殘された夫」
• - 第7回（1960年） - 佐江衆一「背」
• - 第8回（1961年） - 河野多惠子「幼兒狩り」
• - 第9回（1962年） - 多岐一雄「光芒」
• - 第10回（1963年） - 鴻みのる「奇妙な雪」
• - 第11回（1964年） - 津村節子「さい果て」
• - 第12回（1965年） - 渡辺淳一「死化粧」
• - 第13回（1966年） - 齋藤せつ子「健やかな日常」
• - 第14回（1967年） - 山下郁夫「南冥」

選考委員

同人雑誌賞の選考には、各時期に著名な文学者が選考委員として関与していました。第1回から第7回までは、伊藤整や井伏鱒二をはじめ、大岡昇平、佐藤春夫、三島由紀夫など、名だたる文人が顔を揃えていました。

第8回から第11回にかけても同様のメンバーが選考に加わり、作品のクオリティを高める役割を果たしました。さらに、第12回から第14回には新たに尾崎一雄や安岡章太郎が参加し、多様な視点が加わることで選考の深みが増したと言えるでしょう。

関連項目

同人雑誌賞は、新潮社四大文学賞や新潮社文学賞、小説新潮賞、岸田演劇賞など、他の多くの文学賞とも関連しており、作家にとって重要な登竜門の一つでした。これらの賞は、文学界に新しい才能をもたらすことを目的としており、それぞれが異なる特色を持ちながらも、日本文学の発展に寄与してきました。

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