名古屋市交通局LSC形電車

名古屋市交通局LSC形電車について

名古屋市交通局がかつて所有していたLSC形電車は、名古屋市電と呼ばれる路面電車の一形式です。この車両は348番から389番までの合計52両で構成されており、名古屋の公共交通の歴史の中で重要な役割を果たしてきました。

歴史の背景

名古屋市の路面電車は、もともと名古屋電気鉄道により運営されていましたが、1914年に発生した電車焼き討ち事件を契機に市営化が進められることになりました。1920年には名古屋電気鉄道の業務を新しい会社である名古屋鉄道に譲渡し、翌1921年には市電気部への事業改編が行われ、名古屋市の交通局が設立されました。しかし、市営化にあたっては当時の車両不足という課題があったため、市は早急に車両の増備を要することとなりました。

LSC形電車の製造

このような背景のもと、当時の名古屋市交通局はLSC形電車の製造を決定しました。市営化の年である1922年に日本車輌製造に30両、次の年には22両が発注され、全52両が1923年の3月から6月にかけて完成しました。これらの車両は老松車庫に配置され、名古屋市の交通に寄与することとなります。

LSC形電車は、当時にしては珍しい国産部品のみで構成された単車形式の車両でした。搭載されたブリル21E型の台車は、全長6フィート6インチで日車製です。また、電装品には三菱製が使用されており、後に台車の長さが7フィートに延長される改良も行われました。

運用の歴史

1941年には15両が2600形への改造を名目とした廃車となり、戦時中には371号車が親子電車の付随車として電装品を外されることもありましたが、戦後には復旧され、1951年まで活用され続けました。しかし、輸送力の向上を目的に新たにボギー台車を用いた1500形や1600形の車両が製造されたため、最終的にはLSC形電車は全廃されることとなります。

車両の特徴

LSC形電車のスペックは、以下の通りです：

• - 車体長：8078mm
• - 車幅：2191mm
• - 車高：3639mm
• - 定員：42人
• - 自重：9.11t
• - 製造両数：52両
• - 台車：ブリル21E型
• - 電動機：26kw×2

LSC形電車は名古屋の路面電車の発展に貢献し、その歴史において重要な位置を占めています。公共交通機関の発展とともに、多くの市民に利用されたこの車両は、名古屋の都市交通の移り変わりを象徴する存在でした。当時の名古屋市民にとって、LSC形電車は身近な交通手段であり、長い歴史の中で市の発展を共に歩んできたことを忘れてはならないでしょう。

参考文献

• - 徳田耕一 『名古屋市電が走った街 今昔』 JTB、1999年、ISBN 4533033407

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