名古屋市電栄町線

栄町線の概要

栄町線（さかえまちせん）は、かつて愛知県名古屋市に存在していた名古屋市電の一部であり、同市内の笹島町から千種駅前までを結んでいました。この路線は名古屋市中心部の広小路通に沿って東西に走っていました。1898年にその歴史が始まり、1912年には全線が開通。1922年には名古屋市に買収され名古屋市電の一部となり、最終的には1971年に全線が廃止されました。

路線の詳細

栄町線の全長は3.798キロメートル（1962年3月末時点）で、全線が複線かつ道路上に敷設された併用軌道でした。主な起点は笹島町停留場で、名古屋駅の南東に位置し、広小路通を横断する重要な地点でした。この交差点には他の市電路線とも交差する点があり、交通の要所として機能していました。

途中には柳橋停留場や新栄町停留場などがあり、栄町線は広小路通に沿って多くの商業施設や百貨店が立ち並ぶ繁華街と直結していました。栄町停留場はその名の通り、栄の中心部に位置しており、その周辺は非常に賑やかな地域でした。重要な停留場であった栄町停留場は、周辺の交通網との接続も多く、利便性が高い場所でした。

歴史とともに歩んだ栄町線

栄町線は名古屋電気鉄道が電気軌道として開通したことに始まり、その後名古屋市電に引き継がれました。市営化の際には、路線長が増加し、様々な系統が設定されました。特に、栄町線は名古屋駅から栄町を結ぶ重要な交通網として知られていました。

1922年の市営化後、栄町線は経済の発展とともに利用者が増加し、賑やかな都市生活の一部として機能しました。しかし、1940年代には市電の利用者数の減少とともに運行系統の見直しが行われるようになり、1944年には一部区間が運休、その後も戦後の交通事情により栄町線は次第に利用者が減っていきました。

地下鉄建設とその影響

1957年には名古屋市初の地下鉄である東山線が開業し、栄町線と並行する形で運行されることになりました。この地下鉄の開通が市電の運行にも影響を及ぼし、地下鉄の拡張が進む中で、1966年には栄から今池間の営業が廃止されてしまいます。市営バスの急増や自動車の普及も、栄町線の利用者減少に拍車をかけました。

1971年には全線が廃止され、栄町線の名は名古屋の交通史の中で終焉を迎えました。この時に市電最初の開業区間が廃止されたことは、市民にとって大きな出来事でありました。

最後に

栄町線の存在は、名古屋市の発展の一端を担ってきました。その運行期間中、その路線は多くの人々に利用され、名古屋の歴史とともに歩んできたことは間違いありません。今では路面電車が持つ歴史や文化に触れられる場面も少なくなりましたが、栄町線の存在はその名残として都市交通の進化と歴史を語り継いでいます。

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