名古屋製陶所

名古屋製陶所株式会社の歴史と成り立ち

名古屋製陶所株式会社は、愛知県名古屋市に本社を置き、衛生陶器や食器の製造・販売を行っていた企業です。この企業は、1910年に設立され、100年以上の歴史を有しています。最初は「帝国製陶所」としてスタートし、以降の成長を遂げる中で数々の変遷を経ていきました。

設立の背景

名古屋製陶所は、名古屋市千種に位置する中村氏の工場を引き継ぎ、飛鳥井孝太郎と寺澤留四郎によって設立されたのが始まりです。設立当初、白色のディナーセット類を製造する食器メーカーとして位置づけられていました。1911年には合資会社名古屋製陶所として法人化し、事業を本格化させました。

事業の多様化

時代の流れとともに、名古屋製陶所は事業の多様化を図りました。1920年には衛生陶器の製造を行っていた中央窯業株式会社を買収し、山田工場を設立しました。この動きにより、衛生陶器市場への参入を果たし、事業の幅を広げることに成功しました。1922年にはタイルの生産も開始し、製品ラインナップの充実を図りました。

組織の変革

1914年には、寺澤留四郎が経営していた寺澤商店と合併し、その後1917年には株式会社名古屋製陶所に改組しました。この頃から、企業の規模が拡大し、1920年代には名古屋市内での影響力も増大しました。

大正期には特に成長が見られ、1936年には社名を名古屋製陶株式会社へと変更しました。1938年には第2工場ともいえる鳴海工場が完成し、さらなる生産能力の向上を図りました。

戦時とその後

第二次世界大戦の影響により、1942年には企業統合令を受けて東邦サニタリー製陶所株式会社を合併し、軍需物資の生産へと転換しました。しかしながら、戦後の社会情勢や経済環境の変化も影響し、その後の経営は厳しいものとなりました。

1943年5月には鳴海工場を住友金属工業に売却し、名古屋製陶株式会社としての活動を終えることとなりました。その後、山田工場は独立し、名古屋製陶所株式会社（2代目）として新たにスタートを切りますが、全体の流れとしては厳しい自主経営の時代に突入します。

解散に至るまで

1954年には衛生陶器の製造を終了し、最終的には1969年の株主総会で解散が決議されました。こうして名古屋製陶所は、114年の歴史を持つ企業としてその幕を下ろしました。

事業所の展開

名古屋製陶所は、名古屋市内に複数の工場を持っていました。本社工場は名古屋市東区東芳野町にあり、一方で弦月工場は名古屋市東区弦月町に位置していました。現在、弦月工場は名古屋市立振甫中学校の校地となっており、歴史的な変遷が見受けられます。さらに、山田工場は衛生陶器の重要な生産拠点として機能していました。

名古屋製陶所の歴史は、単なる企業の興亡の物語だけでなく、地域の産業発展にも大きな影響を与えた存在でした。

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