名岐鉄道デボ800形電車

名岐鉄道デボ800形電車の概要

名岐鉄道デボ800形電車（MEI640）は、1935年に名古屋鉄道（名鉄）の前身である名岐鉄道により導入された制御電動車形式です。この車両は主に特急列車の運行に使用され、名岐鉄道が最後に新製した電車でもあり、名鉄発足後もその特性を引き継ぎました。

デボ800形の導入経緯

名岐鉄道は、名古屋市と岐阜市とを直結する都市間路線を目指して、路線網の拡大に取り組んでいた。名岐線の全線開通に合わせて、新型車両を導入することが決まった。この際、1934年に日本車輌製造本店で設計され、1935年4月にデボ800形801〜805の5両が落成しました。これにより、名岐線での特急列車の運行が開始され、デボ800形はその運用に非常に重要な役割を担うこととなった。

車体と設計

デボ800形の車体は、半鋼製であり、車両長は17,500 mm、車幅は2,700 mmという仕様です。また、各種仕様には、主電動機の出力や制御装置の設計に関する工夫がなされており、その後の名鉄車両に多くの技術的な影響を与えました。前面は丸形を基調とし、車両の窓も大きく、視界の確保が図られています。

主電動機と制御機器

デボ800形は、英国イングリッシュ・エレクトリック製の主電動機を使用しており、これが名鉄の各形式に普及することになります。同时、制御装置は電動カム軸式を採用し、効率的かつスムーズな運転を提供します。特に、弱め界磁制御を取り入れたことで、電圧昇圧にも対応する設計がされています。

運用の変遷

デボ800形は名岐鉄道及び名古屋鉄道発足以降、特急列車運行において大きな役割を果たしました。運行スタイルとしては、通常2両編成以上での運行が多く、様々な運行形態に対応しました。改良が進むにつれて、モ800形として再編成が施されましたが、代表的な形式はモ800形とモ830形、そしてク2300形に分かれました。

戦後の動向

1948年以降、名岐鉄道の動向により車両は次々に新型となり、モ800形もその影響を受ける形で運用が減少。1970年代後半には新型車両が増加し始め、遂にモ800形は1980年に運用を離れる結果となりました。ただし、モ811とモ812は最終的に動態保存されることとなります。

退役と現在

1996年には、名岐鉄道デボ800形の全車両が運用を離れ、最終的にモ811が静態保存として残りました。これにより、名古屋鉄道の歴史の中で重要な役割を果たしたこの電車の軌跡は、現在でも物語として語り継がれています。

譲渡された車両

モ800形803は試験用として東芝府中工場に譲渡され、ク2310形2315は福井鉄道に貸与後譲渡され、これらは異なる運用を経ており、名鉄の歴史においても特異な存在となっています。

名岐鉄道デボ800形電車は、名古屋鉄道の歴史の中で多くの人々を乗せ、長きにわたり活躍した車両として、その存在意義は今でも大切にされています。

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