名探偵コナン 絶海の探偵

名探偵コナン 絶海の探偵

『名探偵コナン 絶海の探偵』（プライベート・アイ）は、2013年4月20日に公開された劇場版『名探偵コナン』シリーズの第17作です。読売テレビ放送開局55周年記念作品として制作され、興行収入は36.3億円を記録しました。

概要

本作は、静野孔文監督が初めて単独で監督を務めた作品です。脚本は、テレビドラマ『相棒』などで知られる櫻井武晴が担当し、アニメ作品の脚本は初挑戦となりました。海上自衛隊の最新鋭イージス艦を舞台に、コナンたちが巨大な陰謀に立ち向かう、スパイミステリーが展開されます。劇場版コナンシリーズで初めて自衛隊が全面協力し、実際のあたご型護衛艦「あたご」を細部まで忠実に描写している点も大きな特徴です。

防衛省と海上自衛隊の協力により、自衛艦旗である十六条旭日旗も再現されています。そのため、劇場版シリーズで唯一、韓国では公開されていません。

ゲスト声優には、『名探偵コナン』の大ファンである女優の柴咲コウが、イージス艦内の女性自衛官・藤井七海役で出演しています。また、柴咲は次作『異次元の狙撃手』で劇場版主題歌を担当しました。

本作の公開と同日に放送されたテレビアニメ『名探偵コナン』第694話は、本作のプレストーリーとなっており、以降、劇場公開の直前にテレビアニメでプレストーリーが放送される形式が恒例となりました。

ストーリー

海上保安官が舞鶴湾で、自爆用の爆弾を積んだ不審船を発見。同じ頃、コナンたちは海上自衛隊のイージス護衛艦「ほたか」の体験航海に参加しますが、訓練中に未確認物体が接近し、艦内は騒然となります。コナンは、この騒動に疑問を抱き、調査を開始します。

そんな中、蘭は海上自衛官・笹浦洋介の左腕のみが発見された現場に遭遇し、某国のスパイ「X」の存在を知ります。関西では、服部平次が若狭湾の造船所で笹浦の遺体を発見し、事件の真相を追い始めます。目暮警部らもイージス艦に合流し、捜査を進める中で、笹浦がスパイであること、そして藤井七海が情報漏洩事件を捜査していることが判明します。

やがてコナンは、「X」の正体を突き止めますが、蘭が「X」に海に落とされてしまいます。コナンは、光彦が蘭に渡した電波時計を頼りに、蘭の捜索を開始。絶望的な状況の中、蘭は小五郎の金の名刺の反射で居場所を知らせ、無事に救助されます。

登場人物

江戸川コナン: 本作の主人公。事件の真相を解き明かすため、奔走する。
毛利蘭: 本作のヒロイン。スパイ「X」に襲われ、絶体絶命の危機に陥る。
毛利小五郎: 蘭の父親で探偵。眠りの小五郎として事件解決に貢献。
服部平次: 関西の高校生探偵。コナンと共に事件を捜査する。
遠山和葉: 平次の幼馴染。平次をサポートする。
灰原哀: 元黒の組織のメンバー。コナンの協力者。
阿笠博士: 発明家。コナンをサポートする。
鈴木園子: 蘭の親友。蘭の危機を心配する。
目暮十三: 警視庁の警部。事件の捜査を指揮する。
X: 某国のスパイ。イージス艦の情報を狙う。
藤井七海: 自衛隊情報保全隊所属の自衛官。情報漏洩事件を捜査する。

評価

『名探偵コナン 絶海の探偵』は、スパイミステリーという新たなジャンルに挑戦し、リアルな自衛隊の描写やスリリングな展開で、多くのファンを魅了しました。特に、蘭が海に落とされるシーンは、シリーズ屈指の名場面として語り継がれています。また、興行収入もシリーズ最高記録を更新し、大ヒット作品となりました。

その他

映画の最後に「この作品はフィクションであり、実在の人物、団体、国家とは関係ありません。また、実際に起こった事件などを基に制作されたものでもありません。」というテロップが挿入されている。
青山剛昌によるコナンのルール「コナンは泣かない」を覆すシーンがあるが、涙ではなく汗であるとされている。
リアル脱出ゲームとのコラボレーションが初めて開催された作品でもある。

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