名瀬中継局

名瀬中継局について

名瀬中継局は、鹿児島県奄美市と大島郡龍郷町にまたがる、奄美大島におけるテレビ・ラジオ放送の基幹中継局です。この中継局は、名瀬市（現在の奄美市）に設置されたことに由来します。ここでは、コミュニティ[[放送]]局であるディ!ウェイヴの送信所と喜界西中継局についても解説します。

概要

名瀬中継局は、奄美大島における放送の中核を担っています。主な放送エリアは奄美市、龍郷町、そして隣接する喜界島（喜界町）です。さらに、瀬戸内中継局（瀬戸内町）、徳之島中継局（徳之島）、知名中継局（沖永良部島）など、奄美群島の各中継局への電波送信拠点としても機能しています。

開設からアナログテレビ時代までの歴史

第二次世界大戦後、アメリカ軍の統治下にあった奄美大島が日本に復帰した1953年当時、本土との通信は短波無線電話回線のみに限られていました。回線数不足と品質の低さは、奄美群島の経済と文化の発展を阻害する大きな要因でした。そのため、通信網の早期整備が強く求められました。

日本電信電話公社（電電公社）は、鹿児島-名瀬-那覇間を結ぶ新しいマイクロ波回線を建設。1961年10月に鹿児島-名瀬間が開通し、同時にNHKラジオ第1・第2放送も開始されました。翌年には、鹿児島-名瀬-那覇間の電話とテレビ回線の増設工事が始まり、1963年にはNHK総合テレビと教育テレビも開局しました。

初期のテレビ回線は白黒放送には対応できましたが、カラー放送の伝送には規格を満たしていませんでした。しかし、1969年末に沖縄の本土復帰が決定し、その記念事業として、鹿児島-名瀬-那覇間のカラーテレビ伝送路が政府資金で建設されることになりました。1972年5月15日の沖縄本土復帰日までに、中継基地局を増やした新たなルート（知覧-屋久島-悪石島-奄美大島-徳之島-沖永良部島-沖縄本島）が開通し、名瀬中継局でもカラー放送が開始されました。

その後、放送技術の進歩と奄美群島振興開発事業により、民放テレビ局の放送も開始されました。鹿児島県本土から南種子中継局、中之島[[中継局]]を経由して名瀬まで電波を中継するルートが確立され、1976年12月に南日本[[放送]]テレビと鹿児島テレビ放送の中継局が開局、翌年1月28日に本放送を開始しました。さらに、鹿児島放送は1989年、鹿児島読売テレビは1996年に中継局を開設しました。

NHK-FM[[放送]]は、1973年11月17日に奄美群島で初の中継局として開局しました。当初はモノラル放送のみでしたが、1983年度にステレオPCMデジタル回線が導入され、ステレオ放送が可能になりました。2000年頃からは、NHK鹿児島[[放送局]]からすべての放送波が海底光ケーブル回線を使って伝送されています。

地上デジタルテレビ放送への対応

地上デジタルテレビ放送の中継回線では、NHKは海底光ケーブル回線を利用し、民放はアナログ放送時代と同様に、鹿児島県本土から南種子中継局、中之島[[中継局]]を経由して電波を中継しています。民放が電波中継を採用しているのは、海底ケーブルの維持費が高額であるためです。地上デジタル放送では、1社あたり年間6000万円から1億円の維持費が必要と試算されています。

[エフエム鹿児島]は、離島に中継局を設置していませんでしたが、2015年春にエフエムたつごうとの中継回線が導入され、一部時間帯で放送が開始されました。2017年4月からは、インターネットラジオサービス「radiko.jp」を通じて、奄美群島内でも無料で聴取できるようになりました。

奄美地方における地上デジタル放送中継局の整備費用は、民放4局で約28億円に上ります。整備が困難な状況でしたが、総務省の交付金を活用し、国と鹿児島県からの補助金で実質負担が半額となり、2008年に整備が実現しました。2008年3月14日に名瀬中継局に予備免許が交付され、8月1日に本放送が開始されました。

各放送局の設備

デジタルテレビ放送設備

主な受信地域：鹿児島県奄美市、大島郡龍郷町、喜界町の一部。
NHK総合テレビ、MBC、KTSのリモコンキーIDは、アナログ中継局の送信チャンネル番号を継承しています。

アナログテレビ放送設備

NHKは1963年、KTSとMBCは1977年、KKBは1989年、KYTは1996年に本放送を開始しました。NHKのカラー化は1972年、民放は開局当初からカラー放送でした。すべて2011年7月24日に運用を終了しました。

KTSはキー局のフジテレビと同じVHF8chを使用。

FMラジオ放送設備

NHK-FMは1973年11月17日に開局。ディ!ウェイヴ（あまみエフエム）は2007年5月1日に開局しました。

AMラジオ放送設備

NHKラジオ第1・第2は1961年12月15日に開局。MBCは1997年3月19日に開局しました。中継局設置費用の3分の1を国が負担しました。

かつてのコールサイン

NHKラジオ第1は「JOHI」、ラジオ第2は「JOHV」が割り当てられていました。これらのコールサインは、後にテレビ北海道とエフエム石川に再付与されました。

所在地

• - アナログテレビ放送、AMラジオ放送、FMラジオ放送の中継局:

- NHK鹿児島TV・FM：奄美市名瀬伊津部勝（名瀬クリーンセンター付近）
- NHK鹿児島第一・第二：奄美市名瀬朝仁字赤崎（赤崎公園）
- MBC-AM：奄美市名瀬金久字腰又1929
- MBC-TV・KTS：奄美市名瀬有屋字井野1594-1
- KKB・KYT：大島郡龍郷町戸口字大キ2698
- ディ!ウェイヴ：奄美市名瀬有屋字井野1594-5

• - 地上デジタル放送の中継局: 大島郡龍郷町戸口

喜界西中継局

喜界西中継局は、名瀬中継局からの電波を受信しにくい地域をカバーするために設置された中継局です。

アナログテレビ放送

• - 所在地：鹿児島県奄美市名瀬伊津部勝（大平山・NHK名瀬テレビ中継局と同じ）
• - 地上アナログテレビジョン放送は2011年7月24日までに終了
• - 季節混信対策局：名瀬局がVHF3chで送信しているため、スポラディックE層（Eスポ）による混信対策として設置

参考文献

• - 『MBC名瀬中波ラジオ中継局を免許』 九州電気通信監理局、1997年3月18日
• - 『長距離海上伝搬路における放送波中継試験 - 平成16年度報告書の取りまとめ』 九州総合通信局、2005年4月14日
• - 『コミュニティ[[放送]]局の予備免許』 九州総合通信局、2007年2月28日
• - 『コミュニティ[[放送]]局に免許』 九州総合通信局、2007年4月25日
• - 『中之島地区及び奄美地区の地上デジタルテレビジョン放送局に予備免許』 九州総合通信局、2008年3月14日
• - 『鹿児島県奄美地区で地上デジタル放送の試験放送開始』 九州総合通信局・鹿児島地上デジタル放送推進協議会、2008年5月8日
• - 『奄美地域地上デジタル中継局　開局記念イベントを開催』 九州総合通信局、2008年7月28日
• - 『MBC51～60年の軌跡 ～地域メディアとして～』南日本[[放送]]、2014年

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