名稲会

名稲会（めいとうかい）は、日本の米作りにおいて卓越した技術と品質を誇る、ごく限られた生産者たちの特別な組織です。この会の会員となることは、米作りのプロフェッショナルにとって最高の栄誉の一つとされています。

ダイヤモンド褒賞と入会基準

名稲会の会員資格は、米・食味分析鑑定コンクールという国際的な品評会において「ダイヤモンド褒賞」を受賞した者にのみ与えられます。

ダイヤモンド褒賞を受賞するためには、このコンクールで過去5回連続して入賞を果たし、さらにそのうち3回以上で最高位である金賞を獲得するという、極めて厳格な基準をクリアする必要があります。これは、単年だけでなく、長期間にわたり一貫して非常に高い品質の米を生産し続けられる能力の証明であり、並大抵のことではありません。

米・食味分析鑑定コンクールについて

名稲会の会員が選ばれる舞台となる米・食味分析鑑定コンクールは、米・食味鑑定士協会が主催し、1999年から毎年開催されている歴史あるコンクールです。国内外から多数の応募があり、その年の新米の品質が厳しく評価されます。

審査プロセスは非常に詳細かつ多角的です。まず、一次審査では静岡製機株式会社製の食味計が用いられ、客観的なデータに基づいて食味が85点以上の米が選ばれます。続く二次審査では、東洋精米機製作所製の味度計によって、こちらも85点以上の基準が設けられています。機械によるこれらの数値評価を通過した米だけが、最終関門へと進むことができます。

三次審査は、味や香り、粘りといった米本来のおいしさを評価する官能審査です。この審査では、タイガー魔法瓶株式会社の炊飯器を約40台使用し、同一条件で炊飯された米を、熟練した米・食味鑑定士たちが実際に食して評価を行います。機械による数値と人間の五感による評価、その両方を高いレベルで満たさなければ、金賞、そしてダイヤモンド褒賞へと至ることはできないのです。

名稲会の会員

名稲会には、この困難な基準を突破した、日本の米作りの最高峰と言える生産者たちが名を連ねています。例えば、2006年にダイヤモンド褒賞を受賞した宮城県登米市の石井稔氏、新潟県中魚沼郡津南町の桑原健太郎氏、山梨県富士吉田市（故人、2012年逝去）の武藤傳太郎氏をはじめ、山形県置賜郡高畠町の遠藤五一氏（2007年受賞）、福島県郡山市の古川勝幸氏（2009年受賞）、新潟県南魚沼市の笠原勝彦氏（2009年受賞）、長野県下高井郡野沢温泉村の高橋義三氏（2012年受賞）、岐阜県高山市の和仁松男氏（2012年受賞）などがダイヤモンド褒賞を受賞し、名稲会の会員となっています。

これらの会員は、総合部門だけでなく、品種別部門や特別優秀賞など、様々なカテゴリーで数多くの金賞を獲得しており、その卓越した栽培技術と品質管理能力は広く認められています。彼らは日本の食を支える重要な存在であり、品質への飽くなき探求心は、日本の米文化全体の発展に貢献しています。

名稲会は、これらのトップ生産者が互いに技術や知識を共有し、さらなる品質向上を目指す場であると推測されます。その活動は、消費者にとって高品質で美味しい米が安定して供給されることにもつながるでしょう。

米・食味分析鑑定コンクールにおけるダイヤモンド褒賞、そしてそれを受賞した者で構成される名稲会は、日本の米作りの高みを示す重要な指標であり、会員たちはその頂点に立つ存在と言えるでしょう。

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