名護市役所

名護市役所

名護市役所は、沖縄県名護市の行政を執行する機関としての役割を担う施設です。1981年6月に竣工した庁舎は、その優れた建築デザインが評価され、第33回日本建築学会賞を受賞しました。

歴史

1970年、名護町、羽地村、久志村、屋部村、屋我地村の5町村が合併し、名護市が誕生しました。人口増加と業務量の拡大に伴い、新たな市庁舎の建設が喫緊の課題となりました。1976年8月には、市民代表19名からなる「名護市庁舎建設委員会」が発足し、市民のシンボルとなる新たな庁舎の建設に向けた検討が開始されました。

1977年6月、同委員会は、市の中心部に近い教育委員会の敷地が最適であると答申しました。さらに、庁舎の設計については、広く市民の意見を取り入れるため、「2段階・公開設計競技」を行うことを決定しました。1978年8月から1979年3月にかけて実施された設計競技には、全国から308もの応募がありました。その中から選ばれた5案による第2次競技の結果、象設計集団とアトリエ・モビルの合同チーム「Team Zoo」による設計案が採用されました。

「Team Zoo」は、吉阪隆正の事務所から独立した若手建築家グループで、コンペ以前から沖縄の集落調査を重ねていました。今帰仁村中央公民館の設計で沖縄での実績も持っていました。市庁舎は市制施行10周年記念事業として1980年3月に着工され、約1年の工期を経て1981年4月に竣工しました。1999年には、職員数の増加に対応するため、別棟が増築されました。

建替え計画

完成から40年以上が経過し、老朽化が進んでいること、耐震性の問題があることから、名護市は2020年度末に策定した公共施設等総合管理個別計画において、市庁舎と国道を挟んだ名護市民会館の将来的な建て替えの方針を示しました。2023年6月には、移転や建て替えの検討に入ったと報じられましたが、職員や市民を対象としたアンケート調査では、建物の保存を求める意見も多く寄せられています。

建築的特徴

名護市役所は、名護市の中心部に位置し、南側は国道58号線と下水処理場を挟んで名護湾に面し、北側は広場を挟んで住宅や商店が立ち並ぶ市街地です。

庁舎の外観は、二色のコンクリートブロックによる立体格子で構成されており、南面には名護市の集落数にちなんだ56体のシーサーが設置されていましたが、台風や塩害により劣化が進んだため、2019年にすべて撤去されました。北側は段状にセットバックし、上部にはパーゴラ状の庇が設けられています。

「アサギテラス」と名付けられたこの空間は、沖縄の集落にある神聖な場所であるアサギ（カミアシャギ）をイメージしており、開庁時間外でも自由に利用できます。1階の庇にはブーゲンビリアが生い茂り、西棟と東棟の間にある南面には、長さ約28メートルの巨大なスロープがあります。このスロープは、郵便配達のオートバイなども利用しています。

「風の道」と名付けられた通風口や、屋上を土で覆うことによる遮熱、ルーバーによる遮光など、自然エネルギーを活用した工夫が施されており、完成当初はエアコンによる空調を必要としませんでした。しかし、2000年の沖縄サミット開催前後にエアコンが設置されました。

庁舎内の部署

庁舎内には、以下の部署が配置されています。

1階西棟: 子育て支援課、保育・幼稚園課、社会福祉課、介護長寿課
1階東棟: 会計課、税務課、市民課、国民健康保険課、健康増進課、建築住宅課、銀行ATM
2階西棟: 子育て支援課こどもPT、教育委員会
2階東棟: 農林水産課、園芸畜産課、農業政策課、農業委員会、企画政策課、総務課、財政課、市長室
2階別棟: 都市計画課、建設住宅課、建設土木課
3階東棟: 図書資料室、名護市議会
3階別棟: 用地課、土地開発公社、会議室

また、商工・企業誘致課、観光課、地域力推進課、文化スポーツ振興課、教育施設課など一部の部署は、本庁舎外に設置されています。

外部リンク

市役所（名護市）

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