名鉄ト650形貨車

名鉄ト650形貨車

名鉄ト650形貨車は、かつて名古屋鉄道で使用されていた木造の無蓋貨車で、5両（ト651 - ト655）が在籍していました。この貨車は、主に荷物の輸送に用いられ、1950年代から1960年代にかけて名古屋鉄道の輸送ネットワークに貢献しました。

概要

ト650形は、その歴史的背景から特異な存在で、ト651は三河鉄道からの引き継ぎ車両として1923年に製造されました。一方、ト652からト655は1949年に国鉄から払い下げられたもので、それぞれ異なる仕様を持っていました。残念ながら、1964年にはこの形式は消滅しましたが、その存在は名古屋鉄道の歴史に重要な一幕を成しています。

ト651の詳細

ト651はもともと、三河鉄道の10トン積木造無蓋車として1933年に製造され、その後1940年にコンクリートブロックを台枠にボーリングで取り付ける改造が行われました。この改造により貨物の安定性が向上しました。1941年には三河鉄道が名古屋鉄道に合併され、ト651として運用が続けられました。戦後は主に三河線で活躍し続け、その耐久性と機能性が評価されました。

ト652 - ト655の詳細

ト652からト655は、国鉄から移籍したことによってト650形に組み込まれました。1949年以降、これらは私有貨車として主に東部線の社内線専用として運用されました。特にト652とト653は、当初から空気制動システムを備えており、これにより安全性や効率性が向上していました。しかし、明治から大正期に製造されたこれらの車両は、老朽化が進み、1960年にはト654のみが残る状況となりました。

主要諸元

それぞれの車両は以下のような仕様を持っています。

ト651

• - 全長: 6,366 mm
• - 全幅: 2,413 mm
• - 全高: 2,070 mm
• - 軸距: 3,048 mm
• - 自重: 5.53トン
• - 荷重: 10トン

ト652 - ト655

• - 全長: 6,360 mm
• - 全幅: 2,300 mm
• - 全高: 1,660 mm
• - 軸距: 3,060 mm
• - 自重: 5.97トン
• - 荷重: 10トン

終わりに

名鉄ト650形貨車は、その背後にある歴史や技術の進展を知るための貴重な存在です。名古屋鉄道の輸送の一端を担い、様々な物資の輸送で活躍したこの貨車は、鉄道ファンにとっても興味深い研究の対象となっています。特に、その製造から運用までの経緯を辿ることで、当時の鉄道輸送の状況を垣間見ることができるでしょう。

もう一度検索