名鉄ワ610形貨車

名鉄ワ610形貨車の概要

名鉄ワ610形貨車は、名古屋鉄道において使用されていた木造の有蓋貨車です。この形式は、愛知電気鉄道の同系列の貨物車で、1922年から1924年にかけて日本車輌製造によって製造されたものであり、合計で66両が作られました。これらの貨車は、当時の貨物輸送において重要な役割を果たしました。

製造と歴史

ワ610形の原型は、愛知電気鉄道の木造有蓋車であり、ワ610からワ675までの形式が存在しました。特筆すべきは、同時期に造られたツ600通風車とサイズや仕様が共通している点です。このワ610形は、多くの貨車が知多郡常滑町に位置する荷主の私有貨車として活用され、その重要性を持っていました。

1935年に名岐鉄道と愛知電気鉄道が合併し、名古屋鉄道が設立されると、すべてのワ610形が名古屋鉄道の運用下に入ります。1941年には、ワ610形は改番され、ワ611からワ676となりました。この改番は、名鉄の貨車運用の整理の一環でした。

運用状況

主に東部線で使用されていたワ610形は、国鉄直通の貨車としても利用されていました。しかし、1954年に名古屋鉄道が渥美線を豊橋鉄道へ譲渡すると、その所属していた2両（ワ612・ワ613）は豊橋鉄道に移籍しました。ワ610形の私有貨車は、戦後になってからも多くの会社や組合によって所有されました。1960年時点では、63両中31両が私有貨車でした。

老朽化と形式消滅

時代の変化に伴い、国鉄の貨物列車の最高速度が引き上げられる中で、老朽化が進行したワ610形は新しい条件に対応できなくなりました。また、名鉄では私有貨車制度が廃止されたことも影響し、1968年にはこの形式は消滅することとなりました。

参考文献

このワ610形の歴史や運用については、以下の文献が参考になります。

• - 清水武・田中義人・澤内一晃『名古屋鉄道の貨物輸送』フォトパブリッシング、2021年。
• - 小寺幹久『名鉄電車ヒストリー』天夢人、2021年。

名鉄ワ610形貨車は、名古屋鉄道の貨物輸送史において、重要な位置を占めていた貨車であり、その活動は地域の物流において欠かせない存在でした。

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