名鉄安城支線

安城支線について

安城支線（あんじょうしせん）は、愛知県安城市に位置する南安城駅から国鉄（現在のJR東海）安城駅までを結ぶ名古屋鉄道（名鉄）の鉄道路線です。この線は西尾線の支線として運行され、全長は1.1kmで、営業キロはすべて単線で構成されています。

路線の基本情報

• - 路線距離: 1.1 km
• - 軌間: 1,067 mm (狭軌)
• - 駅数: 2駅（起点・終点を含む）
• - 複線区間: なし
• - 電化区間: 全線（直流1,500 V）

歴史と沿革

安城支線の歴史は1939年に遡ります。この年、碧海電気鉄道（碧電）が東海道本線との連絡を強化するため、南安城 - 省線安城間に支線を建設しました。それによって貨物輸送の専用路線が開業し、1944年には名古屋鉄道が碧電を吸収合併。この時、支線は碧西線の一部となりました。1948年には路線名が西尾線に改称され、安城支線となります。

1950年には、愛知国体に伴い、観客の輸送を目的とした臨時の旅客営業が行われました。この成功が契機となり、翌年の1951年3月21日から本格的な旅客営業が開始されます。新安城駅は安城駅に改名され、国鉄と共同使用の駅となりました。

運行形態

1960年1月時点での南安城駅と安城駅間の所要時間は約4分で、すべての列車は線内折り返し運転が行われていました。貨物運用も混合列車として行なわれ、運行は主に西尾乗務区が担当。終末期には南安城駅の構内運転士が運行を行うケースもありました。

55年の歴史の中で、旅客需要においては通勤・通学が主流でしたが、昼間は閑散としており、名鉄自社線の名古屋直通輸送を重視したことから、運行本数は少なく、国鉄との連絡に消極的でした。2021年7月30日には酷薄な貨物輸送と急減する旅客数を受けて、路線は廃止されました。

年代別の出来事

• - 1939年12月25日: 碧海電気鉄道が南安城 - 新安城間の貨物支線を開業。
• - 1944年3月1日: 名古屋鉄道により碧電が吸収合併される。
• - 1948年5月16日: 碧西線が西尾線に改称。
• - 1950年10月28日: 愛知国体を機に、臨時旅客営業を実施。
• - 1951年3月21日: 本格的な旅客営業を開始。
• - 1960年3月27日: 電圧を1,500 Vに昇圧。
• - 1961年7月30日: 路線が廃止される。

車両運用

安城支線では、開業当初、貨物線として電気機関車や電車が貨車を牽引していました。1941年には名鉄が三河鉄道を統合し、これにより新たな車両も投入されます。旅客営業開始後は、安城支線専用の車両も導入され、モ85形などが運行に使用されました。しかし、1980年代には古い木造車に代わって新しい車両が導入されました。

まとめ

安城支線は、地域の交通歴史を映し出す路線でした。短い期間ではありましたが、地域社会に貢献し、多くの人々の移動を支えた役割を果たしていました。現在はその施設も廃止され、名残を感じることも難しくなっていますが、名古屋鉄道の一部としての重要な記憶が刻まれています。

もう一度検索