后位

后位について

后位（こうい）は、日本の皇室で天皇の配偶者である皇后や、その母・祖母にあたる皇太后、太皇太后を指す総称です。この地位は「三宮」または「三后」とも称され、多くの場合は敬称として「陛下」が用いられます。妃位や夫人位よりもはるかに格上として位置づけられています。

背景

律令制度の下で后位は天皇と血縁または配偶の関係に基づいて設定されました。具体的には、「皇后」は天皇の嫡妻、「皇太后」は天皇の母で后位にあった者、「太皇太后」はその祖母を指します。しかし、時が経つにつれてこの定義は変化し、実際には后位にない国母に対して皇太后や太皇太后の称号が与えられる場合も見られました。これは、天皇が退位する際に前の皇后が皇太后とされるなど、形式的な意義を帯びるものとなりました。

平安時代中期以降、后位を決定する際には政治的な背景が大きく影響し、藤原彰子が一条天皇の中宮に冊立されることにより、一つの帝に二人の后が存在する事例も見られるようになりました。このように、后位のあり方は次第に複雑さを増していきました。

院政期とその後

院政期に入ると、后位は当代の天皇との親子や配偶の関係を必ずしも示さなくなり、例えば鳥羽上皇は退位後に入内した藤原泰子を皇后とし、その後近衛天皇が即位する際には生母の藤原得子が皇后に冊立されるなど、后位の決定原理が根本から変わりました。また、三后の宣下は次第に稀になり、准三后宣下が一般的となりました。

明治維新の後は、后位の決定原理が整備されるようになりました。それにより、現天皇の嫡妻を皇后、前の天皇の皇后を皇太后、それ以前の皇后を太皇太后とすることが定められました。皇室典範により三后は皇族とされ、その尊称も「陛下」と決められました。特に、1910年施行の皇族身位令では、皇后の地位が太皇太后や皇太后の上位とされることが明確にされました。

現代の例

2019年には、「天皇退位特例法」に基づき第125代天皇明仁が退位し上皇となったことに伴い、その后である美智子が「上皇后」となりました。この呼称は、上皇が存命中であるため「皇太后」とは呼ばれず、歴史上初の事例となりました。

まとめ

後位は日本の皇室制度において重要な役割を果たし、その地位は歴史や政治の変遷によりさまざまな変化を遂げてきました。皇室におけるこれらの称号は、単に地位を示すだけでなく、歴史的背景や家系の繋がりを象徴するものでもあります。これからもこの制度は時代と共に変わり続けることでしょう。

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