中宮

中宮の概要

中宮（ちゅうぐう）は、日本における天皇の妻、特に皇后を指す言葉の一つです。この名称は、元々「皇后の住居」を意味し、時を経ることで皇后自身を示すようになりました。由来は中国語にあり、この概念は古代中国においても同様の役割を果たしていました。そのため、中宮と称される地位は、時代により意味合いが異なります。

中宮の称号の流れ

中宮という言葉は、皇后・皇太后・太皇太后を含む総称として用いられることが多く、さらに皇太夫人の別称としての役割も果たしました。特に大宝律令においては、これらの女性に奉仕する官職として中宮職が設置され、皇室内での流れが整えられました。皇后、皇太后、太皇太后はそれぞれの住居と共に「中宮」として呼ばれます。

皇太夫人の時代の中宮

大宝律令が制定されて以降、女性が天皇に即位する例が見られ、その結果、皇后の存在が希少になっていきました。文武天皇の時代に唯一の妻藤原宮子が皇太夫人とされ、後に彼女に中宮職が設置されることとなります。これは皇后が存在しない異例の措置でありました。以降、宮子は中宮と呼ばれ、彼女に付随する形で様々な皇太夫人が中宮職に仕えました。

皇后の復活と中宮の新たな役割

約100年の空白を経て、醍醐天皇が皇后を復活させた際、初めて中宮職が皇后に付置されることとなりました。このことにより、中宮は皇后を特識する名称となりました。以後、幾度かの皇後や皇太后の交替を経て、中宮職は皇后専属の官職として確立されます。

二人の皇后の並立の時代

990年には一条天皇のもとで、藤原定子が中宮に任じられつつ、皇后の藤原遵子も存在するという特殊な状況が現れました。この時、遵子は皇后宮と呼ばれ、定子が中宮としての地位を占めることになります。この制度的な変更により、皇后の並立が初めて許されたわけです。しかし、二人の皇后が同時に存在する事例はこの一回限りではなく、その後も他の天皇の時代に続きました。

中宮の廃止とその後

江戸時代に至るまで、中宮や皇后の位置は時代の変遷により変化を続けましたが、最終的には1869年に皇后が一名に固定されることが法制化されたことによって、中宮の位置づけは廃止されました。これにより、近代日本においては「中宮」という称号は消え去りましたが、歴史の中で果たした役割は、今もなお研究や文化の中で語り継がれています。

参考文献

• - 橋本義彦「中宮の意義と沿革」『平安貴族社会の研究』
• - 倉本一宏『一条天皇』

中宮としての役割を過去に持った女性たちの事績は、日本の皇室の歴史において非常に重要な位置を占めています。

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