向上寺

向上寺（こうじょうじ）について

向上寺は広島県尾道市にある曹洞宗の寺院で、山号は潮音山です。本尊として釈迦如来を祀っており、また中国三十三観音霊場の第十一番札所でもあります。寺院はその歴史と建築物によって、多くの人々に親しまれています。

歴史

向上寺の創建は1403年、当時の住持である生口守平によって始まり、開山の愚中周及がその礎を築きました。当初は臨済宗の寺院であり、向上庵と名付けられましたが、1432年には生口氏にゆかりのある信元と信昌が造塔本願檀那として、三重塔が建立されました。この三重塔は、国宝として今も人々の目を引く重要な文化財です。

1444年には、寺は将軍・足利義政により祈願所として指定されましたが、その後一時的に衰退しました。江戸時代に入ると、1609年に関的が入寺し、寺院は再興されることになります。この際に曹洞宗に改宗し、寺請制度のもとで地域の商人たちの寄進により維持されました。しかし、明治の時代に悪化した状況が続き、本堂の焼失や各堂宇の解体が進行しました。

その後、昭和中頃に真宗寺院旧材を利用して仮本堂が建てられましたが、創建期から残る建物は国宝に指定された三重塔だけとなりました。ようやく2010年には再建された本堂が完成し、今では多くの信者や観光客が訪れています。

本尊

向上寺の本尊は聖観世音菩薩座像で、以前は秘仏でしたが、再建された本堂に伴って公開されるようになりました。この像は宝冠如来像の形式を持ち、本来は宝冠釈迦如来として崇拝されていたと考えられています。江戸時代の際に修繕が施されたため、観世音菩薩として多くの人々に信仰される対象となっています。

文化財

向上寺の文化財として特筆すべきは、三重塔です。1432年に建立され、その年が明確であるため、特徴的な手法を用いた禅宗寺院の建築として国宝に指定されています。また、広島県指定の重要文化財にもなっている銅鐘は、1555年に鋳造され、1599年には鐘堂に再掲された際に生口隆平の銘が残されています。

アクセスと周辺の札所

向上寺は周辺の自然と調和した美しい環境の中に位置しており、訪れる人々に心の安らぎを提供しています。隣接する中国三十三観音霊場には、千光寺、佛通寺など、信仰の対象となる寺院が点在しており、観光コースとしても魅力があります。特に、向上寺の三重塔はその美しさと荘厳さで知られ、尾道を訪れる際にはぜひ立ち寄りたいスポットの一つです。

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