佛通寺

佛通寺の紹介

佛通寺（ぶっつうじ）は、広島県三原市に位置する臨済宗佛通寺派の本山です。豊かな自然に囲まれたこの寺院は、山号を御許山（おもとさん）とし、釈迦如来を本尊としています。また、中国三十三観音霊場の第十二番札所であり、さらに山陽花の寺二十四か寺の第21番札所としても名を馳せています。特に紅葉の季節には、訪れる人々を圧倒する美しさで、県内有数の紅葉の名所とされています。

寺院の歴史

佛通寺は1397年（応永4年）に小早川春平を開基として創建され、その後、愚中周及が開山を務めました。春平は当時、京都で足利将軍家に仕官しており、親しい友人である那珂宗泰から愚中の名声を耳にし、彼を招いて氏寺を立てることにしました。これにより、南北朝時代の混乱の中で、一族の結束を図ったとされています。

寺名の由来は、開山である愚中周及の師である即休契了の諡号「仏通禅師」に由来しています。寺は良質な山水の地に設立され、1397年の開創以来、多くの歴史的背景を持つ重要な存在です。1409年には後小松天皇から紫衣を授かり、この年に愚中は示寂を迎えました。以後、彼の弟子たちによって愚中派が発展し、臨済宗の中で独自の地位を築きました。

1441年には足利将軍家の祈願所となり、小早川氏や毛利氏からも厚い信仰を受け、最盛期には88の塔頭と約3000の末寺を持つまでに成長しました。しかし、応仁の乱以降は衰退し、小早川隆景の時代にはわずかに復興しますが、その後の政権交代の中で寺は徐々に影を潜めていきました。

明治維新後は上地によって土地を奪われ、寺院の建物も荒廃していきました。1876年には臨済宗各派の独立に伴い、天龍寺派に属すこととなります。その後、浅野氏の支援を受けて含暉院が再建され、1905年には天龍寺から独立して臨済宗佛通寺派の本山としての地位を確立しました。日中戦争前には、陸軍軍人や作家の杉本五郎が精神修養のために寺を訪問していました。

佛通寺の伽藍

この寺院には、法堂や仏殿、鐘楼など多様な建物が存在します。法堂は仏殿を兼ね備え、1796年の火災後に再建されました。本尊には宝冠釈迦坐像があり、文殊菩薩や普賢菩薩が脇侍として祭られています。天井には菅南山による雲龍図が描かれ、荘厳な雰囲気を醸し出しています。

また、大方丈の「降魔殿」は、十一面観音像を安置し、中国三十三観音霊場としても重要な位置づけを持っています。その他にも、開山堂には重要文化財として仕立てられた地蔵堂があり、1406年に建立された建物は開創当時と変わらぬ姿を保っています。内部には地蔵菩薩坐像が安置されています。

文化財としては、佛通寺に伝わる木造の禅師座像や金泥の法華経版木があり、これらは広島県の重要文化財に指定されています。また、参道にあるイヌマキは、県指定の天然記念物として多くの人々に親しまれています。

主な行事

佛通寺では、春季開山忌（佛通禅師忌）と秋季開山忌（大通禅師忌）の2つの主要な行事が行われています。春の開山忌は4月の15日と16日、秋の開山忌は9月の24日と25日に執り行われ、両日とも多くの信者や観光客で賑わいます。

佛通寺は歴史的な価値と自然の美が調和する場所であり、訪れる者に深い印象を与え続けています。

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