向坊隆

向坊 隆の生涯と業績

向坊 隆（むかいぼう たかし、1917年3月24日 - 2002年7月4日）は、日本の著名な応用化学者であり、東京大学の総長として数々の業績を残しました。彼の専門は電気化学で、主に金属の腐食や原子炉材料の研究に取り組み、日米の原子力協力協定をまとめる重要な役割を果たしました。また、原子力委員会の委員長代理や、日本原子力産業会議の会長も務め、国内外においてその影響力を持つ存在となりました。1992年には、文化功労者として認定され、その功績が讃えられました。

来歴と教育背景

彼は関東州の大連で生まれました。向坊の父は満鉄の理事を務めており、家族は教育を重視していました。彼は大連二中や一高を経て、東京帝国大学（現在の東京大学）応用化学科を卒業しました。1955年には、東京大学の工学博士号を取得し、研究テーマは「電気化学装置の化学工学的研究」となりました。

1959年には東京大学の教授に就任し、1977年には大学の総長に就任しました。この間には、1968年に発生した東大紛争時に工学部長として、学内改革に積極的に関与しました。彼のリーダーシップのもと、大学はさまざまな改革を進め、今の方針が固まったとも言われています。

学術的貢献と著作

向坊隆は、電気化学協会の会長（1977年）、日本工学教育協会の会長（1982年）など、さまざまな学術団体の指導的地位を担っていました。これらの役職を通じて、彼は日本の工学教育や研究の発展に寄与しました。

彼は多くの著作を残しており、主なものに「エネルギー問題についての基礎知識」（1978年）、学長の日常を綴った「学長の平日と休日」（1982年）、また地域教育に貢献した「科学技術と人間」（1983年）などがあります。共編著としては、「英才教育」や「現代技術の再評価」、「明日のエネルギーを求めて」などがあります。彼の著作は、教育や研究だけでなく、原子力政策に関する議論にも寄与しています。

受賞歴と人間関係

1989年には、功績を称えられ勲一等瑞宝章を受章しました。向坊隆は、学問だけでなく、社会貢献にも力を入れた人物でした。 ちなみに、若い頃に中学4年生の頃、彼と隣人として過ごしたのは著名な指揮者、小沢征爾であり、その後の人生において互いに影響を与え合ったとも言われています。

このように、向坊隆の生涯は、日本の科学技術の発展に大いに寄与したものとして記憶されています。彼の業績は、今日も多くの人々に影響を与え続けています。

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