君のために生れかわろう

アルバム『君のために生れかわろう』の概要

チューリップの2番目のアルバムである『君のために生れかわろう』は、1972年12月20日にリリースされ、バンドの成長と都会的な感覚を音楽に反映した作品です。このアルバムには、事前にライブで演奏された楽曲を含む全13曲が収められており、上京後に書かれた楽曲ばかりです。

アルバムの特徴

前作『魔法の黄色い靴』と比較すると、このアルバムは荒々しさが軽減され、より洗練されたアレンジが施されています。特に重厚な楽器の使い方や、コーラスのハーモニーが強調されており、聴く人に新しい感覚を提供します。また、アルバムのジャケット写真は、鶴見にある禅寺で撮影されており、アートディレクションや写真も印象的です。

さらには、上田雅利と吉田彰が初めて作詞や作曲に関与した楽曲が収められている点も重要です。それぞれのメンバーの成長が見える一方、過去の成功を受けて新たな挑戦をする姿勢が伺えます。

ヒットの有無

ただし、アルバムは当初期待ほどのヒットを記録せず、メンバーは次のシングルが成功しなければ福岡に帰らなければならないという厳しい状況に直面しました。その後、1973年にリリースされたシングル『心の旅』がヒットしたことで、チューリップは危機を脱出することができました。

収録曲

SIDE 1

1. 新しい地球をつくれ - アップテンポなロック調で、財津和夫が演奏し、ライブでもよく披露される人気曲。
2. 風車 - アコースティックな雰囲気とストリングスの厚みが特徴の曲。
3. 外へ出ちゃあぶないよ - 上田の初作詞作品で、30周年記念ツアーで久々に演奏されました。
4. 早くおいで - 吉田が初めて手掛けた楽曲で、ビートルズの影響を受けたアレンジが魅力。
5. 雨が - 再びボーカルとして財津が美しいメロディを描き出します。
6. いつもいつも - より親しみやすいメロディの曲。
7. ぼくらの愛が消えてしまうはずがない - 再び財津の声が響く感動的な楽曲。
8. もう一度生れかわろう - 彼のメッセージが詰まった作品。

SIDE 2

1. 君のために生れかわろう - メドレーの展開を持ち、ハモンドオルガンとギターソロが印象的な幻想的な楽曲。
2. 箱入り娘 - アメリカンポップスを感じさせる軽やかな曲。
3. 電車 - ロック調で短いが、ライブでは頻繁に披露されています。
4. 一人の部屋 - アルバムの発売3ヶ月前にリリースされたシングルのテイクを使用しています。
5. バイバイもうさよならさ - 財津がセルフカバーしたことで知られています。

特別付録『チューリップ新聞』

このアルバムには「チューリップ新聞」という付録が同封されています。この新聞は活字印刷でプロフィールや近況報告を掲載し、新設されたファンクラブの情報も記載されていました。このように、音楽だけでなく、ファンとの交流を大切にする姿勢も感じられます。

総括

チューリップの『君のために生れかわろう』は、彼らの音楽的成長と新しい挑戦が表現されたアルバムです。ヒットしなかった経緯もありますが、その後の成功への布石として重要な作品といえるでしょう。

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