一人の部屋

一人の部屋

「一人の部屋」（ひとりのへや）は、日本のバンド、チューリップが1972年9月20日にリリースしたシングルで、ボーカルの財津和夫が作詞・作曲を手がけています。この楽曲は、チューリップの通算2枚目のシングルとして発表されたもので、同年12月にはアルバム『君のために生れかわろう』にも収録されています。

楽曲の背景

「一人の部屋」は、前作「魔法の黄色い靴」が業界内での評価は高かったものの、チャート成績は期待外れで、バンドは地道な練習とライブ活動を続けていました。その中で生まれた曲であり、情緒深い歌詞とメロディーが特徴です。ジャケットのデザインには、英語タイトル「longing for you」が併記されており、当時の音楽界でのチューリップの位置づけを感じさせます。

曲の中で「つまらない」という表現が24回用いられており、聴く者に強い印象を残します。財津和夫は、この曲をライブで「最も売れなかった曲」とたびたびジョークとして扱っており、この自嘲的な姿勢は彼のユーモアの一部を示しています。

制作とアレンジ

初代プロデューサーである新田和長は、この曲の実験的な要素や録音手法、アレンジや演奏、コーラスに関して評価し、「一人の部屋」をチューリップの代表曲の一つと位置づけています。この楽曲では、ストリングスアレンジとリコーダーを担当したのは当時早稲田大学に在学中だった武藤敏史であり、彼は後にオフコースや寺尾聰などのプロデューサーとしても名を馳せます。

また、バンドのメンバーはツアーやライブ活動の中で、この曲が売れないことによるプレッシャーを感じていました。そのため、「一人の部屋」の成功は、チューリップの存続にも影響を与える重要なものであったのです。

ライブパフォーマンス

「一人の部屋」は1973年9月23日の渋谷公会堂でも披露されましたが、その際にリリースされたライブ盤『LIVE!! ACT TULIP』には収録されていません。しかし、限定版『LIVE ACT TULIP 1973-1979ボックス』には、このパフォーマンスが収められています。再結成以降の1997年にもライブで演奏されており、ファンにとっては特別な一曲となっています。

曲目とクレジット

「一人の部屋」と共に収録された「田舎へ引越そう」も、同様に財津和夫が作詞・作曲を手がけています。両曲は以下のようなクレジットで制作されました:

• - 「一人の部屋」

A.Guitar: Kazuo Zaitsu
Piano & Organ: Tatsuya Himeno
E.Guitar: Toshiyuki Abe
E.Bass: Akira Yoshida
Drums: Masatoshi Ueda

• - 「田舎へ引越そう」

A.Guitar & Tambourine: Kazuo Zaitsu
Piano & Banjo: Tatsuya Himeno
E.Guitar: Toshiyuki Abe
E.Bass: Akira Yoshida
Drums: Masatoshi Ueda

このように、「一人の部屋」はチューリップの音楽キャリアにおいて重要な位置を占める作品となり、今もなおファンに愛され続けています。

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