君台観左右帳記

君台観左右帳記（くんだいかんそうちょうき）

『君台観左右帳記』は、室町時代に書かれた装飾に関する貴重な資料で、足利義政の東山御殿内の美術工芸に関する記録を含んでいます。筆者は能阿弥と相阿弥であり、彼らの視点から見た中国絵画や茶器の評価、また茶華香道の歴史的背景を知るための重要な文献となっています。本書は三部構成になっており、第一部では六朝から元代までの中国の画家たちの品評を行っており、第二部では書院の飾り付けについて、第三部では茶湯の飾り方や抹茶壺の図懸、土物の類、彫物の図解が収められています。

書籍の概要

本書の写本は150を超え、刊本も少なくありませんが、オリジナルの原本は存在しません。現在知られているのは、能阿弥本と相阿弥本の二系統に分類されます。また、第1部のみを単独で出版したものや、関連資料として『君台観印譜』や座敷飾に関する本なども存在し、室町時代の唐様文化の保全と普及に貢献しています。これらは美術史において重要な役割を果たしており、唐様文化の規範となった書物の一つとして位置づけられています。

諸本の分類

各系統の本には、それぞれの年次や特徴が異なります。能阿弥本の一つには、『群書類従』に所収されたもので、文明8年（1476年）に大内左京大夫宛に書かれた奥書があり、笔写者は百花庵の宗固です。また、相阿弥本には、信頼性の高い文献もあり、特に東北大学本は、永正8年（1511年）に真相相阿弥の奥書と花押に基づく重要な写本です。画品の数は多く、上部には49人、中部には41人、下部には87人を含み、総計177人を記録しています。その他、博物館蔵版もあり、画家の評価には大きな影響を与えました。

上品画人について

本書において評価された上品画人たちの多くは、現在国宝または重要文化財に指定されている作品を有しています。例えば、呉道子の《釈迦三尊像》や、王摩詰の《倣王摩詰漁楽図》などはその一例です。特に、呉道子の作品は高く評価され、現在も貴重な文化財として認識されています。

結論

『君台観左右帳記』は、室町時代の美術工芸の理解には欠かせない資料であり、特に茶道や装飾に関する知見は、今なお重要視されています。本書が伝える情報は、我々が中国絵画や茶文化をどのように受け入れ、発展させてきたかを示す灯台のような存在です。それゆえに、この文書の存在意義は今後も高まり続けるでしょう。

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