君塚栄治

君塚栄治

君塚栄治（きみづか えいじ）は、1952年7月16日に生まれ、2015年12月28日に逝去した、日本の陸上自衛官です。最終階級は陸将で、第33代陸上幕僚長を務めました。特筆すべきは、自衛隊初の統合任務部隊（JTF）指揮官として、東日本大震災という未曾有の災害において陣頭指揮を執ったことです。その功績から、東北方面総監から陸上幕僚長へ昇格を果たしました。

生涯

神奈川県相模原市出身で、東京都立豊多摩高等学校を卒業後、防衛大学校（第20期）に入学。卒業後は陸上自衛隊に入隊し、野戦特科を専門としました。アメリカ陸軍上級砲兵学校、アメリカ陸軍指揮幕僚大学、幹部レンジャー課程、空挺課程を修了するなど、海外での研修も積極的に行いました。

1998年には第10特科連隊長兼豊川駐屯地司令に就任し、その後、陸上幕僚監部防衛部防衛課長などを歴任。2007年には陸将に昇任し、第8師団長となりました。2009年には東北方面総監に就任し、東日本大震災発生時には、統合任務部隊（JTF-TH）の指揮官として、陸海空自衛隊の約10万人規模の部隊を統括し、人命救助や被災地支援に尽力しました。

2011年8月には、東北方面総監から陸上幕僚長に昇格し、「国家の緊急事態における『最後の砦』としての陸上自衛隊」という信念のもと、水陸両用部隊の整備、機動力向上、通信システムの海空自衛隊との連接、米海兵隊との共同訓練推進など、陸上自衛隊の近代化に尽力しました。また、東日本大震災の教訓を踏まえ、人道支援・災害救援における国際協力の重要性を訴え、諸外国との連携を深めました。

2013年に陸上幕僚長を退任後、株式会社小松製作所の顧問や静岡県補佐官（危機管理担当）などを務め、その経験を活かしました。2015年12月28日、肺がんのため63歳で逝去。没後、従三位に叙され、瑞宝重光章を追贈されました。

詳細

君塚栄治は、陸上自衛隊の要職を歴任する中で、数々の実績を残しました。特に、東日本大震災における統合任務部隊（JTF-TH）の指揮は、自衛隊の災害派遣における大規模な統合運用を成功させた画期的な事例として評価されています。陸上幕僚長としては、自衛隊の近代化と国際協力に力を入れ、そのリーダーシップは国内外から高く評価されました。

東日本大震災発生時、君塚栄治が指揮した統合任務部隊（JTF-TH）は、陸上自衛隊だけでなく、海上自衛隊や航空自衛隊も含む約10万人の人員で構成されました。これは、自衛隊史上最大規模の統合運用であり、被災者の救助、物資の輸送、医療支援、生活支援など多岐にわたる活動を迅速かつ効果的に実施しました。君塚栄治のリーダーシップは、自衛隊が大規模災害において迅速かつ組織的に対応できる能力を実証し、国民からの信頼を大きく高めることに貢献しました。

陸上幕僚長在任中は、陸上自衛隊の近代化と国際協力に重点を置きました。水陸両用部隊の整備や機動力向上は、離島防衛や災害派遣における自衛隊の活動能力を向上させる上で重要な施策であり、また、米海兵隊との共同訓練や連絡幹部交換は、日米同盟の強化に繋がる取り組みでした。さらに、東日本大震災の経験を踏まえ、人道支援・災害救援における国際的な連携の重要性を提唱し、諸外国との防衛協力・交流を積極的に推進しました。

略歴

1976年（昭和51年）3月：防衛大学校卒業（第20期、土木）
1995年（平成07年）1月：1等陸佐に昇任
1998年（平成10年）6月30日：第10特科連隊長兼豊川駐屯地司令
1999年（平成11年）12月10日：陸上幕僚監部防衛部防衛課長
2001年（平成13年）6月29日：陸将補に昇任
2002年（平成14年）3月22日：西部方面総監部幕僚副長
2003年（平成15年）12月5日：第1混成団長兼那覇駐屯地司令
2005年（平成17年）7月28日：陸上幕僚監部人事部長
2006年（平成18年）8月4日：中部方面総監部幕僚長兼伊丹駐屯地司令
2007年（平成19年）7月3日：陸将に昇任、第8師団長
2008年（平成20年）3月24日：防衛大学校幹事
2009年（平成21年）7月21日：第34代東北方面総監に就任
2011年（平成23年）
3月14日～7月1日：東日本大震災対処のため、統合任務部隊（JTF-TH）の指揮官を務める。
8月5日：第33代陸上幕僚長に就任
2013年（平成25年）8月27日：退官
2014年（平成26年）2月1日：株式会社小松製作所顧問
2014年（平成26年）6月3日：静岡県補佐官（危機管理担当）委嘱
2015年（平成27年）12月28日：死去（享年63）

栄典

2008年（平成20年）3月11日：リージョン・オブ・メリット（士官級勲功章）
* 2015年（平成27年）12月28日：従三位、瑞宝重光章

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