君待てども

概要

『君待てども』は、1974年8月5日から10月18日にかけて、東海テレビ制作、フジテレビ系列で放送された昼ドラマです。作詞・作曲家である東辰三の歌曲「君待てども」を基に、戦時中に悲劇的な死を遂げた女性の霊が引き起こす事件を描いています。このドラマは、円谷プロダクションが初めて手掛けた昼ドラマとしても知られています。当時のオカルトブームを背景に、幽霊や吸血といった要素を取り入れ、円谷プロが得意とする特撮技術を駆使した恐怖描写が特徴です。

あらすじ

物語は、主人公の杉はるひが、兄のように慕う従兄の伊吹武夫と、婚約者の山本正と共に鎌倉の神社を訪れる場面から始まります。そこで、神社に奉納されていた絵馬に描かれた花嫁、加崎道子の霊が、はるひに乗り移ってしまいます。道子の婚約者は、戦時中に命を落としており、その姿が武夫に瓜二つだったのです。

はるひは、道子の霊に憑依され、夜な夜な霊に襲われるようになります。霊に引き寄せられるように絵馬の前に現れたはるひは、道子の両親である老夫婦と出会い、結婚式で使うようにとウェディングドレスを渡されます。道子の霊に支配されたはるひは、誠実な婚約者である正を愛する気持ちと、道子が求める武夫への愛情の間で苦悩します。

ある日、同僚の怪我で血を舐めたはるひは、その血を美味しいと感じ、さらに体のだるさが消えることに気づき、慄然とします。そして、結婚式の当日、はるひは式中に倒れてしまいます。道子の霊が式を妨害したのです。はるひは、正への愛と、道子が求める武夫への愛との間で葛藤を深めます。

新婚生活を送る中でも、はるひの行動は正を不安にさせます。買い物の途中で慰霊碑を見つけたはるひは、それが道子のものだと知ります。道子の霊に憑依されたはるひの告白を聞いた武夫は、正のために見合いをした西条公子との結婚を決意します。しかし、武夫と公子の結婚式当日、はるひに乗り移った霊は憎悪を露わにし、式後、ホテルでくつろぐ二人を訪ねます。武夫は公子にこれまでの経緯を打ち明け、一方、正ははるひを精神病院に入れる決心をします。

霊の操り人形と化したはるひは、同僚の血を吸い続け、ついには同僚を自殺に追い込みます。精神科医や降霊術師も、はるひに取り憑いた霊には為す術がありませんでした。窮地に立たされた正は、武夫に「はるひを抱いてくれ」と懇願します。

はるひの望むままに海辺へやってきた武夫の目の前で、道子の父が息を引き取り、その霊が道子の霊をあの世に連れ戻そうとします。一時は道子の父の霊が優勢に見えましたが、最終的に道子の霊が打ち勝ちます。そして、武夫の協力によって、道子の30年来の想いが遂げられ、はるひは解放されます。正と別荘で静養するはるひ。武夫もまた、公子と平穏な生活を送っていました。公子は妊娠を武夫に告げますが、それを知った道子の霊が再び現れます。武夫と関係を重ねるうちに、武夫にも“阿部慎二（道子の戦死した婚約者）”の霊が乗り移ってしまいます。

伊吹家を守ろうとする武夫の母、光子は、武夫とはるひの結婚式を偽装し、はるひを殺そうとします。しかし計画は失敗し、逆に血を吸われてはるひの虜となった武夫の妹、良子のために、光子は命を落としてしまいます。そして遂に、道子は霊の求めるまま、武夫とはるひの姿で海の底へと消えていくのでした。

キャスト

杉はるひ：三浦真弓
伊吹武夫：明石勤
山本正：小川真司
伊吹光子：楠田薫
伊吹良子：菅沢恵美子
西条公子：井上れい子
中井夏子：高樹蓉子
加崎老人：河村憲一郎
加崎夫人：平井岐代子
加崎道子（白い影）：小木日美

スタッフ

企画：出原弘之（東海テレビ）
プロデューサー：淡豊昭、伊藤久夫
監督：山際永三、岡村精
脚本：石堂淑朗、竹内勇太郎
音楽：冬木透
撮影：町田敏行
美術：池谷仙克
照明：鎌田靖男
編集：小林熙昌
助監督：中島俊彦
ナレーター：岸田今日子
制作：東海テレビ、円谷プロダクション

脚注

『X文庫 メーキング・オブ・円谷ヒーロー (2) 』（講談社・1987年）
『別冊映画秘宝 円谷プロ怪奇ドラマ大作戦』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2013年。ISBN 978-4-8003-0174-1。

外部リンク

* 君待てども - テレビドラマデータベース

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