吾妻通り

福島市吾妻通りの歴史と変貌：再開発と歴史的保存の共存

福島市にある吾妻通りは、福島駅東口の福島県道3号福島飯坂線交点から、東へ延びる市道です。正式には一般市道60161号栄町上町線の一部区間ですが、地元では吾妻通りとして広く知られています。

この通りは、福島駅東口の繁華街を東西に貫き、古くから飲食店などが軒を連ねる賑やかな場所でした。かつては映画館もあったそうです。しかし、道路幅員が狭く、交通安全上の問題を抱えていました。そのため、1994年度から都市計画道路栄町置賜町線として整備事業が開始されました。

2011年4月27日には、福島県道3号福島飯坂線交点から国道13号交点までの区間（約220m）が、幅員22mの片側1車線道路として拡張され開通しました。総事業費は34億7800万円にのぼる大規模な事業でした。この拡幅により、歩道と自転車道が分離され、電線の地中化、街路灯などの設置も実現。交通の安全性と利便性が大きく向上しました。

拡幅事業に伴い、沿線の景観も大きく変化しました。特に、東北電力福島支店は社屋の新築移転を余儀なくされました。旧社屋は、福島電燈時代の建物で、歴史的価値のある鉄筋コンクリート2階建ての近代洋風建築でした。

旧社屋敷地内には、樹齢100～150年のヤマナシの古木があり、道路建設の際に伐採または移植される計画がありました。しかし、福島市が古木の保存を決定し、現在も残されています。その隣には、来歴を記した石碑が建立されています。この古木は、長年市民に親しまれてきた存在であり、再開発事業における歴史的建造物や緑地の保全の取り組みの一例として注目されています。

また、吾妻通り沿いには「さんかく広場」が整備されました。これは、置賜町交差点北西角にある三角形の広場です。都市計画道路建設と同時に整備され、芝生敷きのイベント広場として利用されています。西側には、テントやブースの設営スペースも設けられ、水道や電源も完備されています。

この広場周辺は、歴史的にみても重要な場所です。北側の市道置賜町線は、江戸時代の米沢街道の一部であり、米沢藩の参勤交代にも使われていた歴史があります。また、かつては「おかま通り」という通称があり、飲食店の呼び込みが盛んに行われていた名残があります。

吾妻通りの整備は、単なる道路拡幅にとどまらず、歴史的建造物や緑地の保全、街の景観向上、そして交通安全の確保という多様な要素を考慮した、総合的な都市開発事業と言えるでしょう。福島駅の東口周辺の活性化にも大きく貢献しています。現在、吾妻通りは、近代的な都市機能と歴史的・文化的要素が共存する、福島市の象徴的な場所として発展を続けています。

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