米沢街道

米沢街道：会津と米沢を結ぶ歴史の道

米沢街道は、かつて陸奥国会津郡若松（現在の福島県会津若松市）と出羽国置賜郡米沢（現在の山形県米沢市）を結んでいた重要な街道であり、会津街道とも呼ばれていました。その道のりは約14里（約56km）に及び、会津と置賜地方を結ぶ動脈として機能していました。

概要

現代の米沢街道は、国道121号およびその旧道がその大部分をなしていますが、近世の本街道（旧米沢街道）とは経路が異なります。国道121号の旧道は大峠を経由するのに対し、旧米沢街道は桧原峠を経由していました。

若松城下から熊倉宿までは、上街道、中街道、下街道という3つの異なる経路が存在していました。これらの街道はそれぞれ独自の歴史と役割を持っており、旅人や物資の輸送に利用されていました。

歴史

慶長13年（1608年）までは、上街道および中街道が本街道として使用されていましたが、同年、下街道が本街道として定められました。以降、下街道が主要なルートとして機能し、出羽三山参りや柳津虚空蔵尊参りなど、多くの人々に利用されました。

明治時代に入ると、明治5年（1872年）から始まった会津三方道路事業が明治18年（1885年）に完成し、大峠を経由する新たな道路が開通しました。これにより、会津若松から喜多方、大峠を経て米沢に至るルートも米沢街道と呼ばれるようになり、交通の利便性が向上しました。

現在では、大峠を経由する道が「米沢街道」、桧原峠を経由する道が「旧米沢街道」と呼ばれることが一般的です。

宿場

米沢街道には、以下の宿場が点在し、旅人の休憩や物資の補給を担っていました。

若松城下（福島県会津若松市）
塩川宿（福島県喜多方市）
熊倉宿（福島県喜多方市）
大塩宿（福島県耶麻郡北塩原村）
桧原宿（福島県耶麻郡北塩原村）
綱木宿（山形県米沢市）
関町宿（山形県米沢市）
米沢城下（山形県米沢市）

上街道と中街道

慶長13年以降に本街道となった下街道に対し、上街道と中街道は異なる経路を辿っていました。下街道が若松城下から上高野、笈川、塩川を経由して熊倉宿に至るのに対し、中街道は下街道の東側を、上街道はさらにその東側を通っていました。具体的には、中街道は若松城下から藤室、代田、常世を経由して熊倉宿へ、上街道は若松城下から荒久田、金道、常世を経由して熊倉宿へと続いていました。

若松城下とその周辺部では、各街道の経路がさらに異なっていました。上街道は、街道の起点となる大町の四つ角付近から北へ向かい、石堂や荒久田を経由して北上していました。一方、中街道と下街道は、四つ角付近から七日町などを経由して藤室に至り、北へ向かっていました。

主な峠

米沢街道には、以下の峠が存在します。

大塩峠 (旧米沢街道)
蘭峠 (旧米沢街道)
桧原峠 (旧米沢街道)
大峠 (現代の米沢街道)

これらの峠は、街道の難所であり、旅人にとっては大きな試練でした。しかし、同時に、峠からの眺望は格別であり、旅の疲れを癒すものでもありました。

米沢街道は、単なる移動手段としてだけでなく、文化や経済の交流を促進する重要な役割を果たしてきました。その歴史的な価値は、現代においても高く評価されています。

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