呉汁

呉汁（ごじる）

呉汁は、大豆を磨り潰したものを指します。豆腐を作る工程で豆乳にする前の状態を指すこともあれば、大豆を水に浸して擂り潰したペースト状の「呉」を味噌汁に入れたものを指すこともあります。

また、染色工芸の分野では、大豆タンパク質の作用を利用し、染料が布に染み着きやすくするために呉汁（大豆汁）が用いられます。

郷土料理としての呉汁

呉汁は日本各地に伝わる郷土料理であり、特に秋に収穫された大豆が出回る秋から冬にかけてが旬とされています。呉汁に入れる具材は地域によって様々で、人参、大根、牛蒡、玉葱などの根菜類、豆腐、厚揚げ、油揚げなどの大豆加工品、葱、芹、唐辛子などの薬味、芋がら、こんにゃく、椎茸、煮干し、鶏肉などが用いられます。

擂り潰した大豆と野菜がたっぷり入った呉汁は栄養価が高く、体を温める効果もあるため、冬場の郷土料理として古くから親しまれています。報恩講で食べられることもあります。

枝豆を擂り潰して入れた味噌汁は、青呉汁、または枝豆呉汁と呼ばれます。

呉汁の由来

呉汁の起源には諸説あり、はっきりとしたことは分かっていません。「呉」という字は、擂り潰した大豆を意味する音からの当て字であり、中国の呉王朝や広島県呉市とは関係ありません。

各地の呉汁

宮城県: 大豆の収穫時期である冬に食べられることが多く、家庭料理として親しまれています。大豆を水に浸して柔らかくした後、すり鉢などで擂り潰して「呉」を作り、野菜の入った味噌汁に入れます。
福井県: 報恩講で振る舞われる精進料理の一つであり、結婚式や法事などでも出されます。

染色工芸における呉汁

染色工芸の分野では、染料の布への染着性を高めたり、模様を描きやすくしたり、滲みを抑えたりするために呉汁（大豆汁）が用いられます。手芸染色の描染や刷毛染の場合、呉汁を布に塗っておくと、紙の上のような描きやすさになり、染着も良くなり、滲みも抑えられます。ただし、呉汁の濃度や塗布回数は、習慣や経験に基づいて調整されることが多いようです。

岐阜県の郡上本染（岐阜県重要無形文化財）では、鯉のぼりの制作に呉汁が用いられています。

参考文献

(参考文献の情報は、元のデータに記載がありませんでした。)

関連項目

ずんだ
擂り流し
豆乳鍋

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