呉銀行

呉銀行：広島銀行の源流とその変遷

呉銀行は、現在の広島銀行へと繋がる重要な地方銀行の一つでした。その歴史は、明治時代に遡り、幾多の変遷を経て、戦時下の統合により消滅しました。ここでは、呉銀行の設立から終焉までを詳細に解説します。

呉商業銀行から（旧）呉銀行へ

1899年11月、呉銀行の前身である株式会社呉商業銀行が、資本金10万円、払込金2万5千円をもって安芸郡和庄町（現在の呉市）に設立されました。翌1900年1月に開業し、地域経済の発展に貢献しました。1906年9月には、株式会社呉銀行へと商号を変更しました。これが（旧）呉銀行です。

（新）呉銀行の誕生と発展

1927年4月1日、（旧）呉銀行は音戸銀行と合併し、新たに株式会社呉銀行が発足しました。本店は呉市に置かれ、新たなスタートを切りました。新体制下では、1931年3月に株式会社阿賀銀行を買収するなど、経営規模を拡大しました。1937年時点では、広島県下に本店を置く5行の一角を占めるまでに成長しました。

戦時下の統合と消滅

しかし、第二次世界大戦中、国と県による「一県一行」政策が推進されました。この政策に基づき、（新）呉銀行は、（旧）芸備銀行、広島合同貯蓄銀行、備南銀行、三次銀行とともに、（新）藝備銀行の新立に参加することになりました。1945年5月1日、藝備銀行の設立に伴い、呉銀行は解散。これにより、呉市内に本店を置く銀行は姿を消しました。

年表

1899年11月1日：呉商業銀行が設立。
1900年1月5日：呉商業銀行が開業。
1906年9月15日：呉銀行に改称。
1927年4月1日：呉銀行と音戸銀行が合併し、（新）呉銀行が設立。
1931年3月1日：阿賀銀行を買収。
1945年4月25日：呉銀行を含む5行の合併が認可。
1945年5月1日：藝備銀行の設立に伴い解散。

統合された銀行

音戸銀行：元々は愛媛県の中山銀行であり、広島県に移転後、工商銀行を経て音戸銀行となりました。
阿賀銀行：大阪府で設立された北河銀行が、広島県賀茂郡阿賀町に本店を移転し、阿賀銀行に改称しました。

歴代頭取

歴代頭取に関する詳細な情報は、現時点では確認できませんでした。

店舗

呉市の本店は、地元の建築家である豊田勉之によって設計されましたが、残念ながら現存していません。

呉銀行は、その短い歴史の中で、地域経済の発展に大きく貢献しました。その名は消えましたが、広島銀行のルーツとして、その歴史は今も語り継がれています。

参考資料

銀行図書館 銀行変遷史データベース「（株）呉銀行（明治39-昭和2）」
* 銀行図書館 銀行変遷史データベース「（株）呉銀行（昭和2-昭和20）」

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