告発の行方

『告発の行方』(原題:The Accused)は、1988年に公開されたアメリカ合衆国の社会派映画です。監督はジョナサン・カプラン、主演はジョディ・フォスターとケリー・マクギリスといった実力派俳優が務めています。本作は、アメリカで深刻化するレイプ問題をテーマに、レイプ被害者と、その事件の真相解明に挑む検事補の姿を描いた問題作として高い評価を得ています。

物語は、酒場でレイプ被害に遭ったサラという若い女性から始まります。彼女は事件後、警察に通報したものの、加害者たちは「合意の上での行為だった」と主張し、サラに有利な証拠は何もありませんでした。検事補のキャサリンは、証拠不足から渋々司法取引を受け入れようとしますが、深く傷ついたサラの苦悩を目の当たりにし、事件の再捜査を決意します。

キャサリンは、事件の真相解明に奔走します。そして、サラがレイプされる様子を目撃し、911に通報した大学生のケネスの証言を得ます。ケネスは、加害者たちがサラをレイプする様子を詳しく証言、その証言を基に、キャサリンは加害者たちを暴行教唆の罪で告発します。裁判で、ケネスの証言と、事件の状況証拠が加害者たちの有罪判決へと繋がります。

ジョディ・フォスターは、レイプ被害者であるサラを演じ、その魂を揺さぶるような演技で、第61回アカデミー賞主演女優賞と第46回ゴールデングローブ賞主演女優賞（ドラマ部門）を受賞しました。彼女の演技は、レイプ被害者の苦悩と、それでもなお生きようとする強さを鮮やかに表現しています。また、検事補キャサリン役のケリー・マクギリスも、強い正義感と、事件の真相を明らかにしようとする揺るぎない意志を体現しています。

この映画は、単なるレイプ事件の物語にとどまりません。アメリカ社会におけるレイプ問題の深刻さを浮き彫りにし、レイプ被害者が抱える苦悩や、社会からの偏見、そして、正義を求める人々の闘いをリアルに描き出しています。映画のラストシーンでは、「米国では6分ごとに強姦事件が報告されている。強姦被害者の4人に1人は2人以上の加害者から襲われている」というショッキングな事実が提示され、観客に強い衝撃を与えます。

『告発の行方』は、レイプ問題という難しいテーマを正面から捉え、社会に警鐘を鳴らす力強い作品です。ジョディ・フォスターをはじめとする俳優たちの熱演、そして、事件の真相を追う緊迫感あふれる展開は、観客の心を深く揺さぶります。この映画は、レイプ被害者への理解と、性犯罪に対する社会全体の意識改革を促すきっかけとなるでしょう。

なお、日本でのテレビ放送では、2021年6月9日にWOWOWで、地上波放送時にカットされた部分を追加録音した「吹替補完版」が放送されました。この際、サリー役の高田由美さんの休業に伴い、七緒はるひさんが代役を務めたことも話題となりました。しかし、2022年に発売されたブルーレイには、この「吹替補完版」は収録されておらず、DVDと同じ音源が収録されています。

Rotten Tomatoesでは22件の評論のうち91%が高評価(平均7.1点/10点満点)、Metacriticでは12件の評論のうち8件が高評価(平均65点/100点満点)と、批評家からも高い評価を得ています。多くの有名女優がサラ役、キャサリン役に候補に上がったことも、この作品の注目度の高さを物語っています。検事役のケリー・マクギリス自身もレイプ被害の経験者であるという事実は、この映画にさらに深い意味を与えています。

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